〈コラム〉雇用維持と採用促進策「部下に刮目(5)」

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人手不足(15)

「HR人事マネジメント Q&A」第27回
HRMパートナーズ社 人事労務管理コンサルタント
社長 上田 宗朗

過去3回に亘って綴ってきた「従業員意識調査(以下:同調査)」ですが今回も続けて取り上げます。唯、その前にここで再度念押ししておきますと、会社として上司として部下たちが如何なる懸案や不満を抱えているかを知り、転職の意思を思い留まらせ、やる気を促すよう施策を講じるには、実際に彼彼女たちの声を聞くべきであることは言うまでもありません。唯、彼彼女たちが長い勤務経験から「何をしても会社の体制は変わらない」「言ってもどうせ良くならないだろう」、あるいは「今回の調査も見映えと社外向けアピールが目的」など既に諦め半分の境地にいるならば、上司が如何に質そうともそう易々と本音や意見を言わないだろうということです。

それ故これまでお伝えしてきたように、同調査を行うことを以って会社が本気で改善に乗り出そうとの姿勢それに従業員の言葉にきちんと耳を傾けようとの真摯な面持ちを全面に打ち出す必要があります。もちろん、調査結果で出た問題全てを解決すべきかはさておき、最初から腰が引けているのが丸わかりな状態で臨んだならば従業員たちの協力を得ることも叶わなくなるでしょう。本題に入ります。

(5)答えさせ方は?:これは何も難しいことを説きたいのではなく、要は、完全匿名で答えさせるのか、部署部門までは分かるように答えさせるのか、あるいは逆に実名を書かせた上で答えさせるのか、だけです。

僅か十数年前までは質問用紙を配って答えさせていたのが今では大半の会社がインターネットを用いた回答方式に切り替えており、ここでようやく従業員たちに「匿名記入」を信じて貰えるようになりました。というのも以前の紙を使った調査時に、質問用紙に番号が振ってあったり書いた文字の癖から本人を判別するなどの行いもあったようで、なかなか信じては貰えないどころか懐疑的ですらあったからです。

既に「(1)従業員にいつどこで同調査に答えて貰うべきか?」のところでもお伝えしていますが、給金が発生している就労中に答えさせるべきであり、各々の従業員が自分専用のPCを持つ会社ならばそこからアクセスさせれば良いですが、専用PCを持たない部門の従業員のためには調査専用PCを空いているスペースに調査期間限定で何台か設置することもするべきです。

(次回は8月26日号掲載掲載)

上田 宗朗

〈執筆者プロフィル〉うえだ・むねろう  富山県出身で拓殖大学政経学部卒。1988年に渡米後、すぐに人事業界に身を置き、99年初めより同社に在籍。これまで、米国ならびに日本の各地の商工会等で講演やセミナーを数多く行いつつ、米国中の日系企業に対しても人事・労務に絡んだ各種トレーニングの講師を務める。また各地の日系媒体にも記事を多く執筆する米国人事労務管理のエキスパート。

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