自分の目や耳で確かめることが大切
「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人
新型コロナウイルス感染症対策の規制が大幅に緩和され、今夏は一時帰国を計画しているご家庭も多いと思います。今後、日本の学校への進学を予定しているのであれば、この機会に学校訪問をすることをお勧めします。帰国後の学校選びを的確に行うためには、情報収集が必要ですが、何よりも自分の目や耳で確かめることが大切だからです。各校のパンフレットやウェブサイトは宣伝ツールですので、都合の良くないことは書かれていません。また、各校の生徒や保護者の口コミ情報は、各々の方々の個人的な感想です。そのことが自分自身に当てはまるとは言えません。ここでは、学校訪問を行う際に、どのような点に気を付ければよいかをご説明させていただきます。
一時帰国中にタイミングよく、学校見学会やオープンキャンパスが実施されていれば、そちらに参加するのが良いでしょう。先生の模擬授業を受けたり生徒や学生の声を聞けたりする機会を設けていることもあるからです。そうでない場合も、授業を見学できる日時に訪問することをお勧めします。また、可能であれば、休み時間や部活動の様子も見学させてもらえると良いでしょう。授業中でない方が、そこに学ぶ生徒や学生のありのままの姿を見ることができるからです。
また、学校訪問では、各校の自慢の施設を案内してもらうことが多いです。ただし、日常的に使うお手洗いを使ってみたことが学校選びの決め手になったというケースもありました。清潔であることはもちろんですが、鏡の大きさやシンクの数、便座のタイプなどの利便性も気になるところです。
学校訪問を予約する際のEメールや電話も、学校選びの参考になります。Eメールの返信が遅い、文面が丁寧さに欠ける、また電話をしても担当者がすぐに出ないで待たされるとか、応対が無愛想だというような学校は、受け入れに熱心ではないと言えますので、候補校から外した方が良いかもしれません。
また、学校訪問前には、どんな質問をするのかとか、どんなところを見せてもらうのかを、しっかりと決めましょう。質問は、項目別に整理して書き留めておき、質問が散漫にならないようにしたり、聞き漏らしたりしないようにすると良いでしょう。さらに、お子様が聞くことと親御さんが聞くことを分けておくことも大切です。親御さんばかりが質問することによって、入学の意欲に欠け、消極的な子どもだと見られてしまうからです。実は、学校訪問は情報収集の場というだけではなく、学校側にとっては入学前の事前審査的な意味合いも持っているのです。したがって、言葉遣いや立ち居振る舞い、服装などにも気を配る必要があります。また、事前に学校のことを調べ、どんな点に魅力を感じるのかとか、入学後に取り組みたいことも具体的に説明できるようにしておけば、好印象となり、実際の受験時の合否判定によい影響を及ぼすでしょう。実りある学校訪問をすることを期待しています。
(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校)
【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校教員・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校、国際高等学校、名古屋商科大学北米担当、サンディエゴ補習授業校指導教諭を務める。。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
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