〈コラム〉ドクターストップされたゴルフに復帰できたAさん

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解剖学の知識から「体のナゾ」を解く理学療法士③
瓜阪美穂「理学療法士が教えます」 身体が痛い本当の理由 【第26回】

理学療法士のお仕事を、実例を基にご説明するシリーズ3回目です。首に痛みを感じ、来院したAさん。ゴルフの練習をする中で胴体と股関節の回転が柔軟でないために肩に負荷が掛かり、首の痛みを起こしていたことが分かりました。医師にはゴルフをやめるようにと言われましたが、身体の動きを分析し、何がこの痛みを生んでいるのかを特定できれば、大好きなゴルフを再開できます。

ではどうすれば良いか。原因と治療を考える際、理学療法士は解剖学の知識を用います。Aさんの場合は小腸が硬まっていたために胴体が十分に回転できなくなっていました。

例えば、食べ過ぎてお腹がいっぱいになった時の身体の苦しさとトイレに行った時のすっきりした感じの身体の状態を比べてみましょう。内臓の状態によって腰の動きが鈍くなることが分かるでしょう。そして内臓自体に問題がなくても内臓をサポートする筋膜が硬くなってしまうと同じように動きづらくなります

Aさんへの治療では、小腸の滑りを良くするための手業(てわざ)も使うことにしました。簡単に言うと、身体の中にくねくねとした形で入っている小腸は、筋膜という組織によって腰椎の辺りとつながっています。私たちが身体をひねると小腸がつるつる滑べることで身体を回転できるはずですが、この滑りが悪くなったり、筋膜が硬まると背中の動きを邪魔してしまいます。

Aさんの首の痛みはゴルフの練習と関係がありましたが、内臓まで視野に入れ、身体の動き一つ一つに目を配って治療していくことで、ゴルフを止めずに復帰することができました。このようにMRIや身体の外側からは見えにくい原因を見つけ、痛みや不調が戻ってこないような体づくりのお手伝いをするのが理学療法士の仕事です。

瓜阪美穂〈筆者プロフィル〉
瓜阪美穂(うりさか みほ)  理学療法博士、整形臨床スペシャリスト。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校を卒業後、南カリフォルニア大学理学療法博士課程を修了。ブロードウェイミュージカルのダンサーの理学療法士としても活躍中。米国の理学療法により、自身の身体に興味をもち、正しい動作を生活に取り入れることを目的に治療や指導を行っている。
★身体に関する皆様からの質問も受け付けています。
【ウェブ】https://omptny.com/ja/

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