青木隆治 インタビュー アポロシアターで熱唱

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青木隆治

「ガチ!」BOUT. 259
タレント・シンガーソングライター 青木隆治に聞く

出場前日に語るNYでの思い

高低音の声を使い分け、男女問わず多岐にわたるレパートリーを持つ、歌手、兼、正統派ものまねタレントの青木隆治さん。昨秋、ハーレムのアポロシアターの素人参加型ダンスコンテストに急きょ、飛び入り参加させられ、優勝。その後本番の「アマチュアナイト」では、男性ながらも、ホイットニー・ヒューストンの名曲「I Will Always Love You」を圧倒的な歌唱力で熱唱し、会場を沸かせた。「ニューヨークで刺激を受けた」と話す青木さんに、出場前日にお話を伺った。(聞き手・高橋克明)

-アポロシアターのアマチュアナイトで優勝したと聞きました。
青木 いえ、いえ、違います(笑)。ただのオープニングの、観客をランダムに選んでステージに上がらせてダンスをさせるコーナーですよ。たまたま観に行った時に、指をさされて舞台に上げられて。で、そこでパフォーマンスしたら、優勝させてもらって。

-それは日本でも報道をされて…。
青木 まさか(笑)。ただのオープニングの素人のコンテストみたいなものだったので。会場にただのいち観客として到着して、席に座ろうとした時に「上がってこい!」って舞台上の司会者に言われちゃったので。

-到着して5秒で。(笑)
青木 まだ座ってもないんですけどって(笑)。心の準備もできてないままだったので、緊張する時間もなくて逆に良かった。

-アポロシアターのステージに立つのが夢だとお聞きしていましたが…。
青木 こんなにスグに立てちゃったんだ、って(笑)。あっという間に終わりましたけど。
〈インタビュー同席の現地女性コーディネーター〉 最初は体格も大きくない日本人で、会場全体が余り期待してない感じだったんですが、ダンスが始まった途端、大歓声で。

-優勝までしてしまった、と(笑)。ニューヨークに来たのは、ご自身の実力を試したくなったからですか。
青木 いろいろなお店のオープンマイクで、飛び込みで歌ったんですけど…。でも、正直、帰りたくなりました。みんな、上手すぎて。

-一般の素人もいるわけですよね。
青木 それでも、この国のエンターテインメントのクオリティーは(日本と比べて)天と地の差くらいに感じました。正直、僕は今まで何をやってたんだろうって。登録したはいいけど、その場でホントに帰りたくなっちゃって(笑)。もうここで歌えないって思って。

-……日本で最も歌の上手な青木さんが…。
青木 まぁ(彼らの)見せ方もあるのかなぁ。ソコも含めて、やっぱりエンターテインメントの街だなぁって思いましたね。

-彼らはこの国で無名でも、日本に行くとあっという間にメジャーになっちゃうんでしょうか。
青木 そうですね。そんなのが街中にゴロゴロしてますね(笑)。彼らを見ながら「日本に行ったら、これ、ぜーいん、売れちゃうんだろうなぁ」って。(笑)

-でも、売れても入り時間が守れず、ぜーいん、解雇されちゃうんだろうなあ…。
青木 あははは。

-一言で言うと、日本のアーティストたちと何がいちばん違うのでしょう。
青木 やっぱり表現の大きさですね。こっちの人たちは、ステージ上でそれぞれが自分を最大限に表現してます。「オレを見てくれ!」って感じ。日本だと…まずいないですね、そんな人。ちょっと恥ずかしそうに歌うのが主流というか。こっちではオーディエンスが乗ってきたら、「もっともっと乗っかってこい!」みたいな。だから逆に「自分を出す」ことを勉強したアメリカ帰りの日本人は「え、(アメリカに)かぶれちゃったの?」みたいに思われるかもですよね(笑)。

-確かに。(笑)
青木 でも、そうならなきゃいけないな、と思いました。じゃないと、エンターテインメント業界全体が盛り上がらないのかなって。みんな自分を全部出し切れてない感じがするんですよ。

-実際ステージで歌われていかがでしたか。
青木 (日本で)初めてステージに立った16歳の時の「NHKのど自慢」を思い出しましたね。(お客さん)誰も知らないわけですから、僕のこと。ボズ・スキャッグスさんの「We’re All Alone」っていう歌を歌ったんですけど、でもその中で拍手してくださる方もいっらっしゃったので、少しはホッとしたんですけれど。終わって席に戻った時に隣の老夫婦の方たちが「きれいな声だね」って言ってくれて。やっていけるかもってちょっとは思えました。(笑)

-そして、そこにたまたま居合わせたアポロシアターのプロデューサーに「次のアマチュアナイトに出てくれ」と言われました。その時はどういう気持ちだったでしょう。
青木 ありえないくらいうれしかったですね。だってアポロなんて、なかなか立てないじゃないですか。それが決まったっていうのは、それだけで、もうテンションが上がって。すぐに日本に帰って、そこからもうずっと練習です、はい。

-日本だと、すでにスターの地位を確立されていらっしゃる青木さんが、誰も自分のことを知らない中で、緊張とストレスを覚悟して挑戦しようと思った理由は何だったのでしょうか。
青木 今年に入って、何かを変えよう、変えなきゃとは思っていたんですよね。そんな時に「僕がいちばんやりたかったことは何だったんだろう」ってあらためて自分に問いただしてみたら、やっぱり「歌手」、「歌い手」だったんですね。

-デビューした時の夢、を。
青木 そうです。もともと歌手になりたくて、この世界に飛び込んだので。それを忘れちゃってたんじゃないかなって、ふと、われに返って。だったら、エンターテインメントの本場であるアメリカに1回は勉強に来たいなって。

-で、3カ月前にまずは短期で滞在されたんですね。
青木 1週間くらいですけれど。でもその1週間でいろいろ見させてもらって、オープンマイクにも2回出場して。で、先ほども言ったように自分のレベルの低さを痛感しました。

日本から番組スタッフも同行

日本から番組スタッフも同行

-青木隆治がレベル低いって…日本人誰も通用しなくなっちゃいます。それくらいアポロってスゴいんですね。
青木 でも日本のテレビ関係者に「次回、アポロに出るんです」って言っても、「あー、スゴいね」とは言うものの、多分、何がスゴいのか本当の意味では分かってないと思います。そこに出場できること自体のスゴさはあんまり浸透してないかもですね。

-出場される「アマチュアナイト」はトーナメント方式です。勝ち進んだら、またニューヨークに戻って来られるわけですか。
青木 次の週、次の週、とあるので、帰って行って、帰って行って、です。そうなれたら理想ですね。でも、最初は腰が引けてたんですけど、いざ出場となったら、僕も結構、1番とらないと気が済まないタイプなので。なので、今はニューヨークからゴスペルの本物の先生を日本に呼び出して、猛特訓しています。

-その間に日本のお仕事も、台湾のツアーも入ってらっしゃいます。
青木 でも、逆に今は楽しんじゃってますね。楽しめるようになりました。ハードルが高いほど、燃えるので。(笑)

-モノマネも歌唱力も超一流の青木さんですが、双方はプラスで作用するものですか。それともまったく別というか…。
青木 かんっぜんにプラスです。いろいろな方のモノマネをやらせていただいてると、あらゆる声色を使うことになりますよね。結果、自分の色というものも増えていくんですよ。それが自分のオリジナルになる。地声に反映されていくから、モノマネをすることで、オリジナルの幅は広くなります。特に最近、それを感じますね。モノマネをしていなかったら、今の自分の歌はなかったと思います。

-そこまで! …面白い話です。それってご自身の中に何人もの歌手を抱えているってことですよね。
青木 例えば、この1曲は、どの声域を使うのがいちばんいいんだろうってところから入ります。多分、もともとの自分の声って一つのはずなんです。でも、モノマネをやってきたことで、例えば「ここで(美空)ひばりさん(の声)を出したらどうなるだろう」…とか、「(「L’Arc〜en〜Ciel」の)ハイドさんっぽい歌い方の方がこの曲はシックリくるかな」とか、試しながら歌っていくうちに、自分の歌い方が出来上がってきたように思います。(※ここでひばりさん、ハイドさんの声でワンフレーズずつ歌ってくれる)

-(感動しつつ)鳥肌立ってます、今。
青木 (高音で)ここで上に上がって(ひばりさんの声)ここから広げていく(ハイドさんの声)で(のどを指差し)ここをひっくり返すと「なんだバカヤロウ」

-志村(けん)さんだ。…すげえ。(喉の中に)人が入ってるみたいです。
青木 とかね(笑)。(急に低い声になって)どうやって(声を)下げてるか…これこうやって下げてしゃべってると例えば福山(雅治)さんになって、これをぐおっとこもった声にすると(こもった声で)、ボビー・オロゴンになって。(普通に戻って)まぁ、マンションみたいなものかもしれないですね。この階にこの人住んでます、みたいな(笑)。自分の歌を歌うときには、この人たちの部屋をノックする、って感じですね。

-豪華過ぎるマンションですね…。そしていよいよ明日アポロです。今のお気持ちを聞かせてください。
青木 みんな僕のことを知らないので、余計に燃えちゃってます。スベッてもいいから、思いっきりやろうって思ってます。で、日本にもこんなやつがいるよっていうことことをこちらの方にも知ってほしいですね。

僕は世界で活動したい。アポロはそのための第一歩

アポロシアターで行われた「アマチュアナイト」で熱唱する青木隆治さん=2017年10月25日

アポロシアターで行われた「アマチュアナイト」で熱唱する青木隆治さん=2017年10月25日

-そして、その先に見える青木さんのゴールは何でしょう。
青木 最終的には、僕は世界で活動していきたいと思っているので。歌、ダンス、芝居も含めて、エンターテイナーとして。なので、その第一歩にアポロを選んだんだと思います。

-ニューヨークはお好きな街ですか。
青木 戦う街だな、とは思います。リラックスして住む街というより、気を張ってぴりっとして何かに挑む街。刺激を受けるのは好きなので、僕は嫌いじゃないですね。

-最後にニューヨークに住む日本人にアドバイスかメッセージをお願いします。
青木 アドバイスだなんておこがましい。こっちに実際住まれている方の方が絶対、スゴいんで。メッセージは…僕は、もう、恥ずかしくないように、サムライ魂をアポロに少しでも刻んで帰りたいなって思います。

★ インタビューの舞台裏 → https://ameblo.jp/matenrounikki/entry-12345673031.html

青木隆治(RYUJI AOKI) 職業:タレント・シンガーソングライター
1981年1月29日生まれ。神奈川県出身。七色の声を持つとされるハイストーンボイスの持ち主。男女問わずのものまねには定評があり、レパートリーは100を超える。日本テレビ系「ものまねグランプリ」では過去2回優勝。今年は、20th Anniversary Tourを開催。全国15カ所のコンサートツアーで11月3日(土)に中野サンプラザ(東京)に最終日を迎える。Face〈フェイス〉名義で、作詞・作曲も行い自身のオリジナル曲をそろえたアルバム「STAR」を発売中。
【オフィシャルブログ】ameblo.jp/aoki-ryuji/
【ホームページ】www.kens-family.co.jp/aoki/index.html
【Faceオフィシャルサイト】www.f-a-c-e.jp/

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

(2018年1月20日号掲載)

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