インタビュー KEI(3) 今まで以上に子供たちの居心地がいい場所にしていきたい

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「ガチ!」BOUT. 265
「チカーノになった日本人」KEIに聞く

子供の育成、保護、教育、指導するNPO「グッドファミリー」が前進

ヤクザ時代にFBIのおとり捜査で捕まり、カリフォルニアの刑務所で服役。そこで知り合ったチカーノ(メキシコ系ギャング)との交流によって人生における大切なものを学んだKEIさん。投獄中に取得した精神カウンセラーの資格を生かし、2005年、児童虐待(性的・暴力的)キャンペーンをテーマに無料相談を開始。同時に全国各地の看護協会で講演活動を行い、現在も、恵まれない子供たちのボランティア活動に生活を捧げている。すでに本紙に2回登場したKEIさんに、現在の活動について再びお話を伺った。(聞き手・高橋克明)

前回のインタビューから2年たちます。「グッドファミリー」はこの2年でまた大きな変化がありました。
KEI 3年前はちょうどNPO法人の申請を始めたばかりのころでしたよね。そこから1年半、ちょうど一昨年に非活動営利団体NPO法人「グッドファミリー」として、神奈川県庁の方に登録が終わって、認可が下りました。そこから会員を増やしていって、現在に至っている状態ですね。今年が2期目の決済を終えて、会員の数も、県庁の指定されている人数に達しているので、ここから認定NPOに、格上げ申請をしていく感じですね。

想像以上に多くの人が期待し、大きくなっていった感じですね。
KEI この2年間、子供たちに対して、ハロウィーンパーティーをやったり、マリンスポーツでジェットスキーに乗せたり、クリスマスパーティーをやったり、芋煮会や餅つき大会をやったり、あとは養護施設の子供たちを定期的に招待して、バーベキュー大会をやったり…。そういった活動をしてるうちに自然と会員の数が伸びていった感じです。

今現在、子供たちは何人くらいクラブに来ていますか。
KEI 週や季節にもよって全く違いますね。5月5日の「こどもの日」の時にイベントやった時は子供は80人くらい。大人が200人以上来たので、300人くらい集まりましたね。

NPO認定の許可が下りると、具体的にはどう変わってきますか。
KEI 今までは、ただの非活動営利団体だったので、どこかの企業が「どうせ消費税払うんだったら、寄付します」と言ってくれても、25%しか免除にならなかったんです。寄付はしたけど、そこにまた課税される。やはり寄付しづらくなるじゃないですか。それが認定になると、100%免除になるんですね。

寄付する人にとっても、グッドファミリーにとっても非常に大きなことですね。
KEI 当初スタートしたのが2003年。そのころから考えると、夢にも思っていなかったような状態だったと思います。当時、絶対不可能だ、と周りに言われたことが、今はほぼ全て現実になっているわけなので。

すごいですね。
KEI というのも、それらは自分だけの力とかじゃなくて、結局周りの人たちが応援してくれて、実現したことなので。

あとはこの数年で、KEIさんご自身の知名度が劇的に上がったので、それに伴う良い面、悪い面も出てきたとは思うのですが。
KEI そうですね。以前は自分の「本を読んだ」「(日本のバラエティー番組の)『クレイジージャーニー」を見た」って言って、来てくれる人もいた。でも、そういう人たちって、いっときの興味で寄ってくる方も多くて…。最初のころは頻繁に通ってきます。ボランティア手伝いますよ、と。だけど興味本位だけだと、だんだん少なくなってきて、来なくなる。逆に自分のことを理解してくれてる人たちだけが残ってるような状態なので。そう考えると、今一番いい状態なのかもしれないですね。

この15年間は、邪魔をされたことも、助けてもらったことも多々あると思うのですが。
KEI 助けて頂いた方には本当に感謝ですね。嫌になったこともあったけど、でも、うちの女房が感じたストレスに比べると、まだ…。

というのは?
KEI この2年半で、持ち出しが◯◯千万円以上なので(笑)。当然、自分の子供の将来のために蓄えた方がいいわけじゃないですか。女房にそう言われちゃったら、その通りなんですけれど、でも、ここまで来たら、やめてくれって言われてもやめられるもんじゃないので。

奥さまのおっしゃっていることも正論と言えば、正論で…。
KEI それも分かるんですよ。言ってることも。だけど、やっぱり、関わってくれている人もいっぱいいるし、週末遊びに来ることを楽しみにしてる子供たちもいるわけじゃないですか。だから結局「はい、やめた」ってわけにはいかないわけですよ。

なるほど。でも、すでに多くの子供たちが助かって今の状態でも十分じゃないかと端から見ても思ってしまう時もあるのですが。
KEI いや、ここまで来たから、これでいいんだよじゃなくて、ここから、まだ、もうちょっと子供たちの居心地のいいようにしていかなくちゃいけないと思うんですね。

前回のインタビューで「どうしてそこまでやるんですか」と聞いた時に、孤児同然だった昔の自分みたいな子供たちを増やしたくない、と答えられました。
KEI (刑務所の)中にいた時は何をしていいか分からなかったけど、ヤクザに戻ることは考えてなくて、とりあえず出所した時に、警視庁の方が「おまえ、今まで、散々みんなに迷惑かけてきたんだから、何でもいいから社会に奉仕して生きていけ」って言われたことが、ずっと頭に残ってるんですよ。

でも、KEIさんの本質からすると、新宿のヤクザ時代にも、ふと、世のため人のために何かをしようと思うことはあったんじゃないですか。
KEI その時は分からないですけれど…ただ、(東京都新宿区の)職安通りのところに教会があるんですよ。そこの教会に毎週日曜日、マクドナルドのチーズバーガー300個、持って行ってましたよ。それは結構長い間、続けてましたね。チーズバーガーとポテトフライ。それは多分3年ぐらい、刑務所に入るまでやってたですね。

その一方でヤクザの抗争もしながら(笑)。それではこの先のNPO認定以外のKEIさんの目標を教えてください。
KEI さっきも言ったように、今まで以上に子供たちの居心地がいいような場所にしていきたいっていうのと、あとは「コドモ食堂」が今、ちょっと中途半端になっているので、もうちょっと軌道修正したいですね。

「コドモ食堂」は現在茅ヶ崎だけで3件展開している、まったくお金をとらずに、子供たちにごはんを食べさせる、というコンセプトのお店ですが、まったくの無料だと逆に、自分が行きたいパチンコ目的に利用する親も出てくるのでは、という心配もありますが。
KEI もちろんその危惧もありますが、例えば300円にしちゃったら、その300円がない子供もいるんですよ。そうなるとまたコンビニの前にたむろしたりして、そこには不良がいて、仲間入りさせてしまう可能性が出てくる。無料でいつまでも時間が潰せる場所が、その子にはやっぱり必要なんですね。それに、子供をほったらかしてパチンコに行く親に対しては、すぐに打つ手はなくて、それなら、ストレス解消にパチンコに行ってもらって、ストレス解消させたら、子供を虐待することもなくなるかもしれない。もちろん、ある程度見極めをしないと、子供にも親にも良くないとは思っていますけれど。

最近でも虐待死させる事件がありました。虐待する親の共通点は何だと思いますか。
KEI 無責任、ですね。どんなに虐待されてる子供でも、どうにか親に好かれよう、喜んでもらおうと努力してるんですよね。自分からすると、そんなにいじめられて、そんな親に好かれようと努力する必要ないんじゃないかと思うけど、やっぱり子供たちは、みんな努力するんですよ。その努力に親は逆上して、また虐待する。隣の家で子供たちの泣き声が聞こえるから、ひょっとしたら虐待をしてるんじゃないか、みたいな相談が僕のところにくるわけですよ。そこの住所を聞いて、所轄の警察に連絡をして、所轄の児童福祉事務所に電話して確認するように言って、くらいしかできないんですよね。でも電話しても折り返しがないから、ちゃんと(確認しに)行ってるのかどうか、分かんないんで。なので、最近は、どうだったか、報告は必ずこっちに折り返ししてくれっていうことを、やってます。「会えなかった」で済ます警官もいるので「もう1回行ってください」とか。でもそんなのは、氷山の一角ですからね。

ある意味、その親が子供の時に十分な愛情を持って育てられなかったのかもしれませんね。
KEI なので、今うちに来ている子供たちも将来は親になるわけですから。この活動を今やめるわけにはいきませんね。

KEI 1961年東京生まれ。ヤクザ時代にFBIのおとり捜査で捕まる。当時その刑務所に日本人はただ一人。徒党を組まず暴れまくるも、刑務所内で知り合ったチカーノと呼ばれるメキシコ系米国人との交流によって人生における大切なものを学ぶ。2001年、12年8カ月という長い投獄生活を終え、帰国。投獄中に取得した精神カウンセラーの資格を生かし、05年、児童虐待(性的・暴力的)キャンペーンをテーマに無料相談を開始。カウンセリング活動を本格化していく。同時に全国各地の看護協会で講演活動を行う。09年、東京都教育委員会の要請を受け都立南葛飾高校での特別授業を委任される。自らの出自を踏まえ青少年、少女との相互理解に寄与。10年にはレッドリボンプレゼンツ・厚生労働省、財団法人エイズ予防財団後援「HOMIE CHICANO FES」でチャリティーイベントを開催。前代未聞の業界最大規模イベント。国内外の有名アーティストを招致しより一般の方のチカーノカルチャーへの認知を深める。12年8月よりオンライン上で主に児童虐待に関する相談窓口を展開しているGood-Family(good-family.org/)がリニューアルオープン。同時に、九州支部としてGood-Homieを立ち上げ。子供に関する相談以外も受け付け、幅広いトラブルの相談窓口になっている。チカーノスタイルブランド「HOMIE」(www.homie-japan.com/)の代表として現在、神奈川県平塚市にショップを持ち、ファッション、タトゥー、音楽などのカルチャーを幅広く発信している。

◎情報
●KEI執筆のメールマガジン「Days of the HOMIE」


www.mag2.com/m/0001681550.html
540円(税込み)/月、初月無料
毎月第1金曜日・第2金曜日・第3金曜日・第4金曜日(祝祭日・年末年始を除く)
PC・携帯向け/テキスト・HTML形式

●KEI最新刊「プリズン・カウンセラー」
東京キララ社より絶賛発売中。

●漫画「チカーノKEI─米国極悪刑務所を生き抜いた日本人」


秋田書店/ヤングチャンピオンコミックス
別冊ヤングチャンピオンで連載中。単行本1~3巻絶賛発売中。
単行本4巻は9月20日から発売。全国書店で予約受付中。

●KEIプロデュースブランド「HOMIEK」


http://homie-kei.com/homiek/
秋田書店オンラインで発売中。https://akitashoten.shop/?pid=131702506

〈インタビュアー〉
高橋克明(たかはし・よしあき)
専門学校講師の職を捨て、27歳単身あてもなくニューヨークへ。ビザとパスポートの違いも分からず、幼少期の「NYでジャーナリスト」の夢だけを胸に渡米。現在はニューヨークをベースに発刊する週刊邦字紙「NEW YORK ビズ」発行人兼インタビュアーとして、過去ハリウッドスター、スポーツ選手、俳優、アイドル、政治家など、400人を超える著名人にインタビュー。人気インタビューコーナー「ガチ!」(nybiz.nyc/gachi)担当。日本最大のメルマガポータルサイト「まぐまぐ!」で「NEW YORK摩天楼便り」絶賛連載中。

(2018年9月1日号掲載)

【過去のインタビュー】
インタビュー KEI(2)
インタビュー KEI(1)

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