〈コラム〉法律の専門家がお答えします

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senmonka

今週は「シンデル法律事務所」

B1 in lieu of H1B ビザ
カテゴリーの存続について その1

B1 in lieu of H1Bビザカテゴリーは、あまり知られていないビザオプションであり、また、間違った認識のあるビザカテゴリーでもあります。
このビザは、外国企業が従業員を米国企業へ短期間派遣する際に利用されるビザです。この際、外国人従業員がアメリカで実際に遂行する業務は、外国でその従業員が行っていた業務内容に関連する内容でなければなりません。最近、米国では、移民局によるインド系ソフトウェア会社に対する調査のニュースを発端に、このB1 in lieu of H1Bビザカテゴリーが議論の的となっています。このケースは、ソフトウェア会社が米国の関連企業にて、ITコンサルタントとして関連業務に従事する従業員を雇用するため、B1 in lieu of H1Bビザカテゴリーを乱用していたというものでした。通常、米国企業にて専門職の業務遂行を行っている外国人従業員は、米国人の雇用保全のための条項が設けられているH1―Bビザの申請の中で、各種審査を受けなければなりませんが、このソフトウェア会社は、その審査を回避できるB1 in lieu of H1Bビザカテゴリーを利用していたのです。B1 in lieu of H1Bビザカテゴリーについての議論は左記の通りです。

背景:
現地採用の外国人従業員は申請条件に該当しない

B1 in lieu of H1Bビザは、“H1―Bに代替するB―1ビザ”という意味合い表記と誤解されがちですが、H1―Bビザのように、現地採用の外国人従業員が米国企業での業務に従事するためにこのビザを利用することは認められていません。一般的に、B―1(ビジネス)ビザは、日常的な業務以外の業務遂行に対し発行されるビザです。B―1ビザカテゴリー内で遂行が許可されている業務内容の一部には、左記のような例が挙げられます。
⑴米国での就労の必要が発生しない、商業目的の取り引き
「例:外国で生産されている商品に対する注文の受注取り引き等」
⑵契約の交渉
⑶事業提携者とのコンサルティング
⑷裁判所での訴訟手続き・起訴
⑸科学分野等での学術的・専門的な学会への参加、ビジネス・コンベンション、各種会議・セミナーへの参加
⑹独立性の高い各種リサーチの実施
(次回は6月8日号掲載)

(「WEEKLY Biz」2013年5月11日号掲載)
sindel_faceup〈今週の執筆者〉 弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。 〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com
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