〈コラム〉法律の専門家がお答えします

0

senmonka

今週は「シンデル法律事務所」

H―1B専門職ビザに関する興味深いデータ

最近、米移民局は法定要件に基づき2012年会計年度の“H―1B専門職ビザ就労者の特性”という年間レポートを議会に提示しました。このレポートに記載されている興味深い内容をいくつか紹介します。
●H―1Bの申請数が2011年度の26万7654件から翌年2012年度は30万7713件へと15%増えました。
●認可されたH―1Bの数は2011年度の26万9653件から翌年2012年度は26万2569件へと3%減りました(審査が年度をまたいだケースも含む)。
●新規の申請と延長申請の数も変わり、2011年度に認可された総数の39%が新規ビザでしたが、2012年度では52%まで割合が増えました。
●2012年度に認可されたH―1Bビザの72%は25歳〜34歳の方のビザでした。
●認可されたH―1Bビザ申請者の平均年収額は2011年度、2012年度共に変わらず7万ドルでした。
●2011年度と2012年度に認可されたビザ申請のうち、圧倒的に多かったのはインド国籍の申請者でした(2011年度で全体の58%、2012年度で64%)。その次に中国人(7・6%)、カナダ人(3%)、フィリピン人(2%)そして韓国人(1・7%)と続きます。日本国籍の申請者は全体の8番目に多く、それでも2012年度に認可されたビザ申請のうち、わずか1%にしか過ぎませんでした。
●2012年度に認可されたビザ申請の46%は学士号の取得者、42%は修士号、8%は博士号で、4%は職歴を基にした申請でした。
●2012年度に認可されたビザ申請のうち、60%がコンピューター関係の業種でした(2011年度は51%)。建築や工学系の業種が全体の10%(2011年度は11%)と続きます。なお、それらコンピューター、建築、工学系の業界において理系ではない業種に対して認可されたケースは1%以下でした。また美術などに関連する職業は2011年度が全体の1%に対して2012年度は0・4%でした。理系外の職業で唯一申請者が多かったのは教育関係(6・7%)や管理職(7%)などでした。
2014年度の新規H―1B申請は2013年4月1日が受付初日(その4月第1週に受け付けた申請書類は年間上限発行数が仮にその週で超えても抽選対象となった)でしたが、4月の第1週中にH―1Bの年間上限発行数に到達し、移民局は無作為の抽選により正式に受け取る申請書類を選択しました。このように受け付け開始早々に年間上限数に到達したのは2009年度以来でした。申請の数も昨年同時期の約二倍でしたので留学生だけでなく雇用者もこのようなリポートには充分注目する必要があります。H―1Bビザによるスポンサーシップを考えている会社はまず社内にH―1Bビザに適したポジションがあるかどうかを自己査定しなければなりません。更に求人活動中の企業は求職者の学歴や専攻などに充分注目しなければなりません。2014年4月から受付が開始される来年度のH―1Bも早々の締め切りも予想できる事から、求職者だけではなく企業側も貴重な時間の無駄遣いを防ぐため、採用前の入念な査定が非常に重要となるでしょう。
(次回は2月第2週号掲載)

(「WEEKLY Biz」2014年1月11日号掲載)
sindel_faceup〈今週の執筆者〉 弁護士 デビッド・シンデル(David S. Sindell – Attorney at Law) NY、NJ州公認弁護士、NY弁護士会会員 アメリカ移民法弁護士協会会員 1994年NYマンハッタンにシンデル法律事務所を設立。移民法を専門に扱う。以後1万件以上のビザ、永住権等の取得実績を誇る。2011年4月にはCA州シリコンバレーにもオフィスを設立。NY、CA、日本を中心とした法律セミナーの多数開催をはじめ、多数の日系情報誌にも法律記事を連載中で、在米日本人を中心に広く好評を得ている。米国在住の日本人とも交流が深く、米国を拠点に直接日本語で法律相談にも応じている。 〈今週の執筆事務所〉シンデル法律事務所 7 W. 36th St., 14Fl. NYC Tel:212-459-3800 Email:slony@sindelllaw.com Web:www.sindelllaw.com
過去一覧

Share.