<コラム>北米伊藤園企画「なるほど相談室」第12回

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今月のテーマ「カウンセリング」
12-itoen-Mika_headshot回答者 粟野原美加医師 PsyD
コロンビア大学 心理学博士/臨床心理士

相談者:NY在住 Iさん
Q:特にニューヨーカーは、多くの人がカウンセリングにかかっていると聞きます。それだけ頻繁に利用されているサービスなのでしょうか。
A:一般的に“メンタルヘルス”への偏見はまだあるといえますが、ニューヨークのような大都市圏では、心理療法やメンタルヘルスの治療に対してよりオープンな傾向にあるといえます。実際に、市内には多くのセラピストもおりますし、社会的に必要とされていることも事実です。
自分では気がつかない感情や経験による行動や言動は、多くの場合、人に影響を与えかねます。治療を受けることで、それらに気づき、より多くの選択肢を知ることができ、人生の課題に対応することができるといえます。心理療法の目的の一つは、助けを必要としている人の心の声に耳をかたむけ、問題を克服するために必要な道筋を共に開くことにあります。
Q:自分がもっている日本でのイメージほど堅苦しいものではないのかもしれませんが、実際にどんな悩みや問題をかかえた人たちがセラピストにかかっているのでしょうか。
A:心理療法は一般的に、適応障害、うつ病、不安症、依存症(アルコール、薬物)、恋愛・結婚・離婚・夫婦問題、人間関係、拒食症、また自傷行為など、さまざまな心の悩みや問題を持つ人を助けるための治療方法です。Sashie_12_Counseling5
精神的なストレスで体に不調を訴える方もいますが、何が原因なのか分からないというケースも多くあります。その症状は、一時的な場合(例えば、新しい土地に移り住んだときに、疎外感や孤独を感じるなど)だったり、慢性的だったり、それぞれです。ほとんどのセラピストは、広い範囲で個々の問題に対応できるようなトレーニングを受けていますが、その中にも専門分野で活躍するセラピストもいます。例えば、心理学者(Psychologist)、精神病医(Psychiatrist)、ソーシャルワーカー(Social worker)など。心理療法や精神療法を初めて受けるという方は、自分の問題を理解し、改善に向けて一緒に取り組んでくれるセラピストと出会うために、コミュニケーションをとって探すことをお勧めします。
Q:カウンセリングを受けるために、保険は適用されますか。
A:セラピストによって異なります。保険によってメンタルヘルスの治療を受けるために、そのプランが「インネットワーク」か「アウトオブネットワーク」というように決まっています。まずは自分の保険プランを知ることが重要です。もしインネットワークであれば、自己負担はほとんど“co-pay”のみです。その他は、保険会社に問い合わせて事前に調べる必要があるでしょう。また支払いに対してキーとなるのは、何回治療を受けるのか、ということです。
保険プランによって、通院回数が限られている場合も多くあるので、知る必要があるでしょう。平均的に1回45分から50分の治療は、100ドルから200ドル+程度です。自分の限度額と相談しながら、治療に通うことも重要です。市内には、さまざまな低コストのクリニックもあります。1回40ドルから治療が受けられますが、薬の処方が高くなるケースが多いです。
(次回は2月第4週号掲載)

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