〈コラム〉ニューヨーク州における委任状(Power of Attorney)

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POAは様々な用途に使える

ニューヨーク州では、委任状(Power of Attorney、略して“POA”)に関する法規は、一般義務法第5条、第15巻に成文化されています。POAの中で、本人に代わって決定権を持つ他者を指名する者のことをPrincipal(本人)といいます。一方、POAの中で、本人によって指名され、本人に代わって業務に携わる者のことをAgent(代理人)といいます。POAの効力が及ぶのは、本人の資産及び業務に関することのみですが、遺言によって本来本人が行うべき業務に関しては、一般的にPOAで権限を代理人に与えることはできません。さらに、POAは本人に代わって健康関連の決定を行う権限は与えません。同州では、健康関連の決定は医療委任状(Health Care Proxy)の守備範囲になります。

POAは、代理人に対して限定的又は広範囲な権限を与えることができます。限定的POAは、例えば本人が特定の不動産取り引きの契約締結に立ち会えない等、特定の状況においてのみ、本人に代わって業務を行う権限を代理人に与えることができます。一方、広範囲な権限を与えるPOAは、本人が請け負う行為や活動のほとんどを執り行う代理人を指名することができます。POAは、“非永続的”、“永続的”、又は“反騰的”である場合があります。“非永続的”POAは即時発効となり、通常、特定の取り引きや指定の時間枠の中でのみ使用されます。この“非永続的”POAは、本人による取り消し又は本人の無能力、障害、又は死によって終了します。一方、“永続的”POAも即時発効となりますが、通常本人の業務を幅広く処理するために使用されます。“永続的”POAは、将来本人が無能力になったり障害を持ったりしても、引き続き効力を持ち続けるという点が、“非永続的”POAとの違いです。“永続的”POAは、本人による(無能力になる前の)取り消し、又は本人の死、又は裁判所の取り消し判決によって終了します。“反騰的”POAは、POAの中で特定された将来の出来事が発生したときにのみ発効します。この出来事とは、典型的には本人の将来の病気、障害、無能力等を指します。“反騰的”POAは、本人による(無能力になる前の)取り消し、又は本人の死、又は裁判所による取り消し判決が出るまでは有効であり続けます。代理人が権限を持つきっかけとなる本人の“無能力”又は“障害”の確定は、一般的に医師が行います。

本人は、1名又は複数名の代理人を指名することができます。もし複数の代理人を指名する場合、本人は代理人同士が連帯で行動しなければならないのか、お互い独自に行動することができるのかを、更に指定することができます。各代理人は、何時においても本人の利益を最優先し、常に受託者責任を果たし、いかなる自己取引も避けなければなりません。同州におけるPOAは、本人と代理人の両者が署名をし、公証を受けなければなりません。

POAは様々な用途に使用することができます。本人が無能力になったり障害を持ったりした場合は、POAは裁判所の仲介による後見人の任命を待つことなく、信頼のおける代理人が迅速に業務を処理するための確実な方法としてしばしば使用されます。

(弁護士 マリアン・ディクソン)
(次回は12月第1週号掲載)

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