〈コラム〉トランプ大統領の税政策 実現可能かどうかは疑問

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第62回

2017年1月20日にトランプ氏が正式に大統領に就任いたしました。選挙中は、もしトランプ氏が大統領に当選したら、すぐに世界が終わるなどいろいろな噂が飛び交いましたが、現在は株価も順調で、世界は終わっていないようです。

2月11日には安部首相と日米首脳会談が行われ、防衛関係や経済関係について会談されました。トランプ氏が大統領就任前には「日本は在日米軍費用を全額負担すべきである」と意見でしたが、会談後は、「日本はコストや負担の共有に関して他国のお手本となってきた、在日米軍受け入れに感謝、日米同盟は重要」など姿勢をとても軟化させたように見えます。日本との関係のことはこれくらいにしておいて、税政策についてはどのようなことを主張しているかを簡単にまとめてみます。

法人税を現在の最大35%から大幅に減税を考えていると表明しています。目標は15%から20%までの間にして、アメリカ国内の企業を節税のために国外に流出させないようすると同時に、すでに国外に拠点を移してしまった企業を戻す目的があるようです。企業を国内に戻すことにより、雇用を増やし、経済を良くさせる狙いがあります。

トランプ大統領は、相続税、贈与税の撤廃を主張しています。なぜ、相続税、贈与税を廃止するのでしょうか。それは世界の富裕層をアメリカに移住させるという狙いがあるようです。富裕層はもちろんお金を投資したり、消費したり、たくさん使うので、こういった人が増えると経済が良くなると考えています。トランプ大統領も超富裕層ですので、将来、自分の子供に会社や資産を譲るときにとても有利になることでしょう。

個人の所得税に関しては、現在の7段階から、もっとシンプルに3段階に変更するべきだと主張しています。最高税率は現在の39・6%から33%に下げ、多くの納税者が恩恵を受けるとされています。ただ、計算によると年収70万ドル以上のトップ1%の高所得者が一番得をするとも言われています。逆に片親で育てている家庭や、子供が3人以上いる家庭では現行の案では増税になりますので、今後修正が必要とされています。

減税ばかりで国民は嬉しいかもしれませんが、政府側からみれば、10年で3・5兆ドルの減収になると計算されています。実現可能かどうかは疑問です。トランプ大統領は、爆弾発言でいつも世間を賑わせていますが、これからは良いリーダーとして皆さんを幸せに導いてほしいです。

(次回は4月第2週掲載)

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〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。

ウェブwww.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ

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