〈コラム〉健康のための生活改善! 禁煙、禁酒、十分な睡眠… でも運動を忘れていませんか?

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日本クリニック「医療の時間」第38診

先月、米疾病対策センター(CDC)から発表されたリポートでは、7万6669人の米国人を対象に調査したところ、喫煙、飲酒、睡眠不足などの問題よりも、筋トレなどの運動不足が、より多くの人が抱える問題を招いていることが浮き彫りとなりました。
調査結果として、驚くべきことに米国人の33%が習慣的な運動を全くしておらず、73%(約4人に3人)がどんな筋肉トレーニングをも行っていないということでした。地域別に見ると、有酸素運動を行っているのは西海岸では50%、南部ではたった17%でした。そして残念なことに、筋肉トレーニングと有酸素運動の両方を行っているのはたった19%という結果となりました。この調査で経済状態が貧困なほど運動量や運動する機会が減ることが判明しました。
喫煙、飲酒、睡眠不足などのよく知られている問題については以下のような結果となっています。
喫煙状況:現在、男性では22%、女性では18%が習慣的に喫煙しており、そのうち男性の17%、女性の14%が毎日喫煙しています。
飲酒状況:米国人男性の6%、女性の4%が酒の飲み過ぎ(一日の飲酒量が、355ミリリットルの缶ビールで男性は2本以上、女性は1本以上の場合を飲み過ぎとする)に分類されていています。
睡眠状況:男女ともに28%が毎日6時間未満の睡眠のみで生活しており、9時間以上の十分な睡眠が取れているのは、男性の8%、女性の9%のみという結果となりました。
一方で現在、米国人の62%が太り過ぎか肥満状態で、男性の41%、女性の28%が太り過ぎ、男女とも27%が肥満でした。最も肥満傾向が強い年齢層は45歳から64歳でした。太り過ぎまたは肥満の比率を人種での違いを見ると、アジア系アメリカンが一番肥満率が低く、たった41%。その他の人種では、アフリカンアメリカンは70%、ネイティブアメリカンとアラスカ人が71%、ハワイアンと太平洋諸島系に関しては73%という驚くべき結果となりました。
肥満はあらゆる生活習慣病の原因となります。このリポートが示すように、習慣的な運動不足の方が、米国でよく取り上げられる健康問題に比べ、起こりやすい問題といえるでしょう。私たちが健康状態を向上させるためには、禁煙、禁酒、睡眠不足の解消だけではなく、筋肉トレーニングなどの運動を日常的に取り入れることが必要不可欠です。筋トレといっても、別に重いダンベルなどを持ち上げる必要はありません。ピラティス、ヨガ、軽い腕立てなど、どんな体重負荷運動でも健康を向上させるにはとても効果的です。またニューヨーク市にはこれらのクラスがたくさんありますね。皆さんもぜひこの夏トライしてみましょう。 Let’s Exercise !
(参照:米疾病対策センター報告。データ数値の小数点は切り捨てています)
(次回は7月第4週土曜日号掲載)
drvitale〈今回の執筆者〉ケン・ヴィターレ医師/Kenneth C. Vitale, MD
日本クリニック/15W 44th St. 10FL. NY,NY 10036
スポーツ医学、理学医療科、リハビリテーション科。

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