〈コラム〉さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第22回

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着床前診断22~最新の性染色体(男女産み分け)と22対の常染色体の着床前診断方法(10)~

フレッシュ受精卵移植と冷凍受精卵移植における成功への分析(2)

前回から、“フレッシュ受精卵は間違いなく冷凍受精卵より優れる”という今までの伝統的な観念とは矛盾する“冷凍受精卵を別サイクルで移植する”ことについて、その臨床結果を踏まえ、その理論背景の説明を開始しています。
前回、“フレッシュ受精卵と冷凍受精卵の受精卵のみの比較であれば、フレッシュの受精卵のほうがより好ましい”という概念は間違いないことを命題として説明しました。
しかし、〈冷凍受精卵移植がフレッシュ受精卵移植より妊娠率が良い〉と最近、臨床側から分かってきた事実は、前回お伝えした着床する大切な要件三つのうちの一つである、フレッシュ受精卵と冷凍受精卵の受精卵のみの比較ではなく、他の二つの要件も重要に関わっていることによります。この他二つの要因とは、受精卵を受け取る女性の体(子宮内膜の受容力、及び、受精卵と内膜との相互影響作用)に関係しています。
着床は、自己制限性によって設定されている女性のサイクル上、特定の期間に行われます。この特定な期間でのみ、子宮内膜が形態上、機能上、着床に備え十分な状態に形成されます。子宮内膜の受容力は着床~妊娠のための重要な鍵の一つです。しかし、体外受精に使用される排卵促進剤により、通常の女性のサイクルであれば着床のために自然に形成される子宮内膜の理想的な状態から乖離させてしまうことが示唆されてきています。体外受精では、移植に最適なより多くの卵胞を採卵を行うために、体外受精サイクル月に卵巣にあるアントラル卵胞を刺激し成長させ、排卵促進剤の投与を行ないます。以前に詳しく説明してきているように、この排卵促進剤投与の過程において、人工的にホルモン(E2とP4)を上昇させ、自然の月経サイクルではありえない数値に引き上げ、上記に記したように子宮内膜が形態上、機能上、着床に相応しい状態から変えます。つまり、実質的に着床可能期間の“状態”ではないことが分かってきています。このことから、卵胞を排卵促進剤によって刺激するサイクルと同サイクルで移植を行うことは、着床を失敗させる大きな一因と考えられるようになってきたのです。(次回に続く)
(次回は10月第1週号掲載)

sakura life profile Photo〈プロフィル〉清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。
【ウェブ】www.sakuralifesave.com/

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