〈コラム〉「理香先生の歯のアドバイス」第15回

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睡眠時無呼吸症候群に歯医者が出来ること

いびき予防マウスピースを特別に作成

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Aphnea Syndrome)は睡眠を妨げる危険な病気です。米総合歯科学会によると、1800万人のアメリカ人がSASにかかっていると推測されています。
10秒以上の無呼吸状態が続く
SASとは睡眠中10秒以上の無呼吸状態が続くことで、その度、脳から呼吸指令が送られる為、十分な睡眠をとる事が出来ません。SASは一般のいびきとは異なり、かいていた大きないびきが止まった後、鼻息が荒くなったりして息が止まり、又呼吸が再開する事を繰り返します。呼吸停止が一晩に60~100回ほど起きる場合もあります。いびきをかくからSASであるとか、SASだからいびきをかくという訳でもありません。
SASは主に2種類あり、専門医によって診断されます。一つめは喉の筋肉がリラックスする箇所で、喉や口から入ってくる空気の流れが停止する場合、二つめは脳からの呼吸指令が止まる為、呼吸停止になる場合です。
症状は、朝起きたときに頭痛があったり、口腔内が乾燥している、日中の疲労感、苛々する、情緒不安定、不眠症などがあります。殆どのSAS患者は、睡眠中に自分が何度も目覚めていることに気がつきません。SASになる原因は、鼻や喉や気道が変形している、肥満症、高血圧、喫煙によって気道が腫れている、アルコールや鎮静剤の摂取であったりします。
いびきや無呼吸停止を改善
治療法を確定するために、簡易検査のほか、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)を行い、主治医や専門医の診断を受けます。症状が軽い場合は仰向けに寝るのを避ける、ダイエットや禁煙などを勧められるでしょう。症状が重い場合は持続的気道陽圧 (CPAP:Continuous positive airway pressure system)治療を行ったりします。CPAP治療とは、睡眠中、鼻に特別のマスクをして、CPAP装置からチューブを通して気道へ空気が送りこまれるようにして、いびきや無呼吸停止を改善します。さらに重症の場合は外科手術が必要になる事もあります。
歯科医が出来ることは、患者の主治医との相談の後、軽度のSAS患者にはマウスガードに似た、いびき予防マウスピース(snore guard)を特別に作り、患者の歯の上下につけ舌や顎の位置を固定します。患者が上手く装着出来るよう調整したり、睡眠中つけていなければいけませんが、いびきはかなり緩和されるでしょう。
SASの症状が自分にある場合は、主治医や歯科医にどの方法が適切かよく相談してみてください。

Rika Furukawa〈プロフィル〉古川理香(ふるかわ りか) メリーランド大学ボルチモア校歯学部卒業。AGD、ADA、NYSDA会員。ニューヨークで歯科医として「Rika Furukawa, DDS, LLC.」開業。

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