〈コラム〉集夢計画35 「初春、曙光の兆し」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第40回

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筆者(中央)を囲んでキュレーターの陳虹安さん(左から5番目)、プロデューサーの李立民さん(左から4番目)とアーティスト仲間達

新年、明けましておめでとうございます。
映画制作を目指した集夢計画も今年で5年目。この間、激励もあれば、とんでもないと笑われることもありました。それでも、何とかして完成させたいという意思は通じるようで、今年の正月は今まで以上に希望が湧いています。
毎年年頭に、「春若不耕、秋無収穫:春に耕さなければ、秋の収穫は無し」を思い出し、自分を奮起させるのですが、昨年の春に発表した「ザ・ピンク“いいね”カー」は秋の収穫を見込んでのもの。この車に載せて私が運んだのは、大好きな果物と「吃果子拝樹頭、飲水思源」という言葉。果物を食べる時、水を飲むときには原点を考えて大事にしようという意味。屏東(ピントン)の果物農家の人々が働く姿に直接触れ、その一生懸命さに敬意を表すと共に、台湾の豊かな大地を守りたい。その一心な気持ちで、農家から7000キロの果物を購入し、台湾最南端の屏東から台北まで、台湾を縦断して運び、イベント会場で配布しました。
映画の宣伝をしながらのイベントの途中、「上古国際芸術会社」と出合いました。プロデューサーの李立民さんとキュレーターの陳虹安さんは、上質なもの、原点に根ざした東洋アート、台湾アートを世界に広めようと、9年間文化を耕し続けています。「生活の中に芸術を」、「物々交換」などの話に熱心に耳を傾けてくれ、私の美の原点である絵画のコレクターを探してくれることになりました。ネバーギブアップで取り組んでいる集夢計画、その一環であるピンクカーの制作から終了までは8カ月と長期に渡りましたが、これから一緒に歩いてくれる仲間が増えたことは大きな収穫でした。こうして新年に、集夢計画に曙光の兆しがあることを皆様に報告できることを嬉しく思います。
(次回は3月第2週号掲載)

〈プロフィル〉 リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック】www.facebook.com/lin.shihpao

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