〈コラム〉さくらライフセイブアソシエイツ代表・清水直子「米国最先端臨床現場から」海外治療コンサルティングリポート 第27回

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〜遺伝子疾患の着床前診断方法:単一遺伝子疾患(シングル遺伝子疾患:Single Gene Disorders)の着床前診断(2)〜

健康な子供を望む患者様の唯一の望みの綱

前回から、家系から派生する特定の遺伝疾患を検査するシングル遺伝子検査の着床前診断についてどのように行うかを説明を開始いたしました。
単一遺伝子疾患の着床前診断とは、家系から派生する特定の遺伝疾患に焦点をおいて、当該疾患遺伝子を削除すべく受精卵に対して生体検査を行なうものです。このシングル遺伝子検査の着床前診断は、その患者様の特定の遺伝子疾患分析からの遺伝子分析リポートがあれば、ほぼすべての遺伝子疾患について行うことが可能です。このシングル遺伝子検査の着床前診断と同時に、23対の染色体の異数性を検査する着床前診断を併用して行えば、健康な赤ちゃんを授かる確率を更に確実にすることができます。
単一遺伝子疾患の着床前診断は、当該遺伝疾患に侵されている受精卵と、侵されていない受精卵を見分けることが目的です。現時点では、受精卵の生体検査である着床前診断が、妊娠以前に受精卵が遺伝疾患に侵されているかを検査する唯一の方法です。着床前診断は、家系から派生する特定の遺伝疾患の継承の確率を確実に下げ、健康な子供を望む多くの患者様の唯一の望みの綱になっています。着床前診断を行うことにより、出生診断で異常が出た場合の中絶を行うかどうかという厳しい選択に直面する可能性を低くすることができるからです。
単一遺伝子疾患の着床前診断は、23対の染色体の異数性を検査すること同様、受精卵の生体検査を行います。受精卵に対する単一遺伝子疾患の生体検査は、誕生後の患者様に対して行う単一遺伝子疾患の診断検査とは大きく方法が異なります。単一遺伝子の中には、限られた量のDNAしか存在しないため、体外受精サイクルより前に各夫婦のプローブ(型)、つまり、あらかじめ着床前診断のためのセットアップを形成・設定し、準備をする必要があります。
次回は、このセットアップの方法について説明いたします。
(次回は3月第1週号掲載)

sakura life profile Photo〈プロフィル〉清水直子(しみず なおこ) 学習院大学法学部卒業、コロンビア大学で数学を学び、ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネスでMBAを取得。マウントサイナイ医科大学短期医学スクール修了。メリルリンチの株式部で活躍し、2003年さくらライフセイブ・アソシエイツを設立。
【ウェブ】www.sakuralifesave.com/

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