〈コラム〉「理香先生の歯のアドバイス」第16回

0

親知らずは抜くべき?

かかりつけの歯科医とよく相談を

歯科医院で痛みも無いのに親知らずを抜くことを勧められたことがありますか? 特に若い年齢層の人が抜歯を勧められることが多いのは、年をとってから以下のような問題が発生する恐れがあるからです。
⒈ 予防のため
親知らずが斜めに向かって生えていたり、骨の中や歯茎の中に埋まっていたりすると隣接する歯に影響を与えてしまいます。年齢を重ねる度に顎の骨密度が高くなるので抜歯をするのが困難になり、抜歯後の出血、歯にひびが入る、重度の麻痺、顎が上手く動かせないなどの症状が出ることがあります。これは一時的なものであったり、時には長期持続することもあります。
⒉ 虫歯がある場合
虫歯治療は簡単に出来ますが、親知らずは一番奥にある為、患者が適切な歯磨きを行えず、何度も虫歯になる可能性があります。
⒊ 親知らずの角度が悪い場合
隣の第2大臼歯を圧迫することで歯痛が起きたり、噛み合わせに問題が出たりします。歯科矯正をした後の歯並びに影響が出ることもあり、時には上顎にある親知らずによって鼻づまりや痛みの症状が出たりします。
⒋ 嚢胞が出来ている場合
親知らずの中には嚢胞が出来て隣の歯や顎の骨、又は神経にダメージを与えることがあります。
⒌ 一部歯茎の上に出ている場合
親知らずの一部が歯茎から頭をのぞかせていると、食べ物のかすが歯と歯茎の間に溜まりやすくなって細菌が繁殖しやすくなり、その結果歯肉の炎症を起こしたりします。
◇ ◇ ◇
歯科医は患者の口の大きさ、歯並び、年齢などによって親知らずの抜歯が必要か説明してくれるでしょう。普通は痛みや口臭、炎症がなければ、直ぐに抜歯を勧められることはないでしょう。時には、親知らずの位置が下顎神経に近く、神経損傷の恐れがある場合抜歯をしないほうが良いこともあるので、かかりつけの歯科医によく相談してください。

Rika Furukawa〈プロフィル〉古川理香(ふるかわ りか) メリーランド大学ボルチモア校歯学部卒業。AGD、ADA、NYSDA会員。ニューヨークで歯科医として「Rika Furukawa, DDS, LLC.」開業。

過去一覧

Share.