〈コラム〉キヨコ・ホルバート「私と写真、そして、ウエディング」【vol. 6】

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ウエディングケーキに込めた思い

0221-18men-sa18ウエディングになくてはならない“ウエディングケーキ”。日本人カップルは、イチゴと生クリームのショートケーキを好まれる方が8割以上ですが、アメリカ人の多くはチョコレートケーキを選ばれます。
ウエディングケーキは、古代ギリシャ時代に繁栄を祈願して、花嫁の頭上にビスケットをまいたことが起源になっているという説が有名です。その当時は、収穫や子宝に恵まれるようにという意味がある小麦に、豊穣を意味するブドウなどのフルーツを加え、固く焼き上げた一段のフルーツケーキが主流でした。
現在の形が広まったのは18世紀末から19世紀にかけてで、英国のビクトリア女王の第一王女のご成婚の際に登場した3段重ねのケーキがきっかけだそうです。ロンドンにあるセント・ブライズ教会に、四つの8角形の段重ねになった尖塔の建物があり、近くに住んでいたお菓子職人がこの教会の尖塔からアイデアを得て、段重ねのウエディングケーキを考案したとされています。
ケーキ入刀についての由来にも諸説あります。愛し合う二人が一つのパンを分かち合って永遠の愛を誓ったというギリシャ神話によるものと、新婦の母親がウエディングケーキを作り、結婚式で新婦がケーキをカットしてゲストに配るという風習のある米国でのお話。とても固いシュガーケーキが流行した時代、固くて切り分けることができずにいた新婦に新郎が一緒にケーキをカットし、結婚後初めての共同作業をしたのだとか。
“ファーストバイト(first bite)”は、新郎から食べさせるとき「一生食べ物に困るような生活はさせない」という意味があり、新婦からの場合は「一生美味しい料理を食べさせてあげる」という意味があります。二人の幸せへの思いを込めた“ケーキ&ケーキ入刀”。歴史やそこに宿る祈りに思いを馳せれば、ウエディング準備ももっと楽しくなりますよ。
(次回は4月第3週号掲載)


0419-Kiyoko_column-539021_10151881919944265_683327061_n〈プロフィル〉キヨコ・ホルバート(Kiyoko Horvath) 写真家/ウエディングプランナー
FIT写真学科を卒業。東欧出身の映画カメラマンの夫と共にキロスタジオを設立。これまでに撮影のほか、1200組以上のウエディングを手掛けるなど、NYのウエディングの草分け的存在。講演や視察ツアーも行う。また、「NY女性の集い」や「Learn From 3.11」を立ち上げ、ボランティア活動も精力的に行っている。【ブログ】ameblo.jp/kirowedding

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