〈コラム〉「理香先生の歯のアドバイス」第17回

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フッ素について

摂取には効果と危険性、歯科医に相談を

フッ素は水、土や食物の中に自然に含まれていて、特に成長期の子供の歯のエナメル質に浸透しやすい性質があります。フッ素は歯質を強化して虫歯になりにくい歯をつくり、再石灰化を促進するなど初期の虫歯を治す効果があります。フッ素には体内に取り込むタイプと塗布するタイプの2種類があります。
全身応用は水道水や飲料水にフッ素を添加したり、ビタミン剤などから摂取するものです。一度消化器官に入ると血液に入って全身に回り、排泄されないものは歯や骨などの硬い組織に蓄積されます。
局所応用はフッ素入りの歯磨き粉やマウスウオッシュなど歯の外側から塗布するもので、飲み込まないよう注意が必要です。フロスもかねて、フッ素入りの歯磨き粉を一日2回使用する事が推奨されています。歯科衛生士や歯科医は歯のクリーニングの後、ジェル、ムース、バーニッシュタイプのフッ素溶液を歯に塗布し、1分以上放置します。時には、虫歯になる可能性の高い患者に自宅でも出来るよう処方する事もあります。
米国では、殆どの地域の水道水にフッ素が添加されており、虫歯予防や初期の虫歯を治す効果があるといわれていますが、フッ素は水や土の中にも自然に存在するので、容易に水や食物から身体に入っていきます。子供にフッ素のサプリメントを与える場合は事前に必ず歯科医に相談しましょう。特に子供がフッ素を過剰に取り入れてしまうと歯の変色、或いは斑状歯になることがあります。
過去何十年にもわたって水道水フッ素添加についての効果と安全性に関する議論がされていますが、フッ素添加の反対者はフッ素の水道水添加による恩恵よりも費用の問題だけでなく、健康被害の可能性を懸念しています。自分の家族にとってのフッ素摂取の危険性や恩恵などを歯科医に相談してください。フッ素によって起こる病気についての記事はよく理解する事が必要です。
最近、保健精神衛生局は水道水に添加するフッ素濃度をEPA(米環境保護局)が定めた0.7〜1.2ppmから0.7ppmに変更しました。米国歯科医師会もこの発表を支持しています。

Rika Furukawa〈プロフィル〉古川理香(ふるかわ りか) メリーランド大学ボルチモア校歯学部卒業。AGD、ADA、NYSDA会員。ニューヨークで歯科医として「Rika Furukawa, DDS, LLC.」開業。

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