〈コラム〉Dr. 鈴木の病める者を癒やせ【第11回】

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糖尿病を防ぎ、コントロールする究極の方法〈その1〉

日本は、“お上の線引き”(=健康診断基準値)によって、生活習慣病者の数が増えたり減ったりするという変な国ですが、総じて糖尿病患者は年を追うごとに増加傾向です。とは言っても、米国ほどその状況は深刻ではありません。
ここ米国では、成人で発症するタイプ2の糖尿病(2型糖尿病)が急速に若年層にまで広がっています。この病気はインスリンが十分に働けないために、炭水化物をエネルギーに変換する過程が損なわれてしまうものです。このまま行けば2050年までに米国成人の3人に一人が糖尿病を患ってしまうでしょう。
どうしてこうなってしまったか?と言いますと、米国式の食事と座ってばかりであまり動かない、という生活スタイルが決定的に影響しているのです。
1900年代に砂糖の消費量が年間一人当たり4~5キログラムだったのが、今日では約35キログラム(日本は約17キログラム)。この米国人の砂糖消費の高さと糖尿病、肥満の急激な伸びは直接に結びついているのです。
血糖値のコントロールで重要になるのは、身体が大量の炭水化物を代謝する能力ですが、これは人間の歴史の中では最近できたものです。南アフリカのバンツ族の人たちは、動物食品は摂らず、昔ながらのイモや野菜など高炭水化物食ですが、いたって健康的です。しかし、現代の高糖分と加工炭水化物食品では、決して健康な社会は成り立たないといえます。
日本の優れた食文化を知る私たちは、この砂糖と合成食品の洪水に溺れず、病魔を退け、生命力を高める健やかな食生活を続けていきたいものです。
(次回は6月第3週号掲載)

 

0719-eldersDr Suzuki Picture 〈プロフィル〉鈴木眞(すずき・まこと) 1935年生まれ。58年早稲田大学卒業。総合商社開発課長を経て日米合弁企業マーケティング担当取締役、日独合弁企業社長を歴任。のち脳血栓に倒れる。ゲリー・マーチン博士の指導によるビタミン・ミネラル投与法を実践して健康の回復に成功。米国ネーチャーズサンシャイン社日本代表などを務めた後、88年米国エルダース栄養科学研究所を設立して独自ブランド「M10-8」シリーズのサプリメントを開発。米国栄養薬理学界会員、栄養学博士(Ph.D in Metabolic Nutritional Science)。
ウェブ】www.eldersinternational.org

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