〈コラム〉ことわざの受け取り方 自分にあった井戸を見つければ良い

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第45回

皆さん、日本のことわざに興味はあるでしょうか。非常にたくさんありますが、ぴんとこないものもあれば、興味深いものもあります。人生の時々により、その意味の受け取り方も異なると思うのは私だけでしょうか。

「井の中の蛙(かわず)大海を知らず」ということわざを聞いたことがあると思います。他に広い世界のあることを知らずに、自分の周りの狭い範囲だけでものを考えていることの例えとして使われます。私が初めて就職した業界は日系食品商社の営業職でした。特に私が得意としていたのはグロッサリーへの売込みで、顧客からは「良いものを安く提供してくれるので嬉しい」という喜びの言葉をうけ、それがモチベーションになり、さらに顧客を満足させようと商品や棚の陳列についての質問や、セールの仕方についての相談に応えるために日々勉強をしました。顧客との関係はとても良く、ビジネス相談に何でも答えられるコンサルタントだと自分で思い込んでいました。しかし、顧客の中には商品が良く売れ、売上げはすごく上がっているにも関わらず、実際はそんなに利益が残っていないお店もありました。このような顧客の「どうしたら、儲かるのかな?」というシンプルな相談に、これといってアドバイスすることができませんでした。当たり前の話ですが、売上げを伸ばしても、その分人件費など別のコストが掛かっていると利益はでません。全般的なビジネスコンサルティングをしているつもりだった私は売上げ中心の偏ったアドバイスしかできない、井の中の蛙でした。その時の知識だけでは、自分が満足するアドバイスができないと思っていた頃、管理会計というものを見つけました。会計を勉強しているうちに、大きな目線でビジネスを捉えることができるようになり、損益計算書を中心としたそれなりのアドバイスができるようになりました。営業だけではなく、会計を知ることはその時の私にとって大海に出ることと同じだったかもしれません。

実は「井の中の蛙、大海を知らず」ということわざには続きがあるのをご存知でしょうか。その後に「されど空の深さを知る」と続くそうです。私は、狭いところにいるからこそ、深く掘り下げることができる知識もあるということをいいたいと解釈しました。蛙は井の中から出るべきではないということではなく、大海を知り、空の深さを知りながら、自分にあった井戸を見つければ良いのではないでしょうか。ちなみに会計士になり色々な業界を見てきましたが、私は結局、食品業界が自分の心地よい井戸だと思っています。
(次回は11月第2週号掲載)

<a href=”/uploads/2014/03/a387f85f981e8089e54ac974cb29d218.jpg”><img class=”alignleft wp-image-976″ src=”/wp-content/uploads/2014/03/a387f85f981e8089e54ac974cb29d218.jpg” alt=”takeshi%20001[1]” width=”180″ height=”235″ /></a>〈プロフィル〉 <strong>日下 武(くさか たけし)</strong> 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。

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