〈コラム〉中島敏行「言葉のチカラ」第6回

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今の自分は過去の結果 未来の結果は今の積み重ね

外食産業に足を踏み入れて早17年余り、上司や仲間、お客様との日々の出会い、触れ合いを通して反省や感銘を受け、現在も勉強させていただいています。
最近、僕はお陰様の気持ちの大切さをあらためて感じています。物事を“〇〇のせい”と思うのか、“〇〇のお陰”と思うのかでは対照的な結果となり、前者のように責任を転嫁することにより悲しみや憎悪が生まれますが、後者においては感謝や謙虚が生まれることを実感しています。「今の自分は過去の結果、未来の結果は今の積み重ね」という言葉を、このコラム最後の言葉としたいと思います。
今から8年前、僕がばってんラーメンに着任して間もない頃に、ラーメンをお母さんと不慣れな手付きで食べていた地元の中学生のお客様が、やがてお一人様でご来店され、ほかのお客様の見様見真似でラーメンをすすり、大学生になった現在は仲間と共に訪れ「ラーメンはこうやってすするんだ!」と教えている青年の姿を目にし、感激する気持ちと合わせて時間の経過と店の成長とを重ね、目頭が熱くなりました。
人種、宗教、主義、主張が異なっても食事をし、ご満足いただければ幸せな表情をします。そんなお客様の喜びを自分の喜びにできることこそ飲食業に携わる者の醍醐味なのでしょう。仕事や私生活で問題が浮上したり、逆境に見舞われた時に“言葉のチカラ”によって原点に返り、冷静に現実を直視し、主体的な視点で行動することにより、心想事成(※)が確立されると経験則から痛感しています。
6回にわたるコラムを通して、当時の記憶を辿り僕自身が再発起するきっかけになりました。このような機会を与えてくださった本紙関係者各位様、コラムを読んで下さった皆様に厚く御礼申し上げます。有難う御座いました。
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※心想事成(心に思うことが成就する、望んだことが実現できる)

batten_nakajima〈profile〉 中島敏行(なかじま としゆき) 肥後ばってんラーメン オーナー、Magokoro Inc.社長。千葉県出身。経営マネージメントを学び、1996年ワタミ・フードサービス(株)(現WATAMI)に入社。創業者である渡邊美樹氏(現会長)から直接指導を受け、居食屋和民の店長、スーパーバイザーを経て03年W&E Hospitality Inc.へ転職のため渡米。05年に肥後ばってんラーメン店長に着任、10年独立。

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