〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第67回

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靴について part 5

dodl 一口にニューヨークと東京の違い、と言いましてもたくさんあり過ぎるほどですが、靴修理と靴磨き屋さんの多さもその一つに加えてもよいのではないでしょうか(笑)。この事実はビジネスの場において、それだけ靴が大切ということの証しでもあるのです。よく言われております通り、この街ではビジネスミーティングの際、髪にくしが通っているかよりも、靴がきちんと手入れされているかどうかがマナーとして、より大切とされているのです。以前触れましたが、グッドイヤーウェルテッドの靴は手入れによって10年、またはそれ以上の年月での単位での使用が可能です。上質の靴を丁寧に扱い、履いているということは、それだけで知性、品性そして教養ある大人の男性であることを、あえて語らずとも周囲にアピールしていることになるのです。数千ドルする注文服のスーツに、手入れの良くない、磨かれてもいない靴を合わせた場合と、前者の何分の一かのお値段の既製品スーツに、きちんと手入れされ、磨き上げられた靴を履かれていた場合とでは、後者の方がずっと見栄えが良いことがあるのです。こちらの優秀な人たちは、そのようなことに敏感で目を光らせているのです。このような意味において、靴に投資することは思いのほか大切なことだといえるでしょう。
グッドイヤーウェルテッド製法の、英国スタイルのビジネスシューズ、なるべくレースアップ(紐靴)のものを。ローファーを否定はしませんが、どちらかと言えば、スーツではなくジャケット・スタイルに合わせられることをお勧めします。
最後に、新品の靴はいきなり外で履かないこと。革はまだ何も手入れされていないサラの状態なのです。購入されたら、まず靴クリームを多めに塗って数日放ったらかし、その後ワックスで磨きましょう。面倒ならば靴磨き屋さんに預けやってもらうのです。たったそれだけでその後の革の持ち具合、そして磨いた時の光沢が違ってきますよ。それではまた。
(次回は8月第2週号掲載)

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〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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