デビッド・ブーレー氏、「奥井海生堂」がコラボ 一夜限りのフルコースで昆布出汁を堪能

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ニューヨークで活躍する一流フレンチシェフのデビッド・ブーレー氏は7日、創業明治4年の高級昆布老舗「奥井海生堂」とコラボレートした一夜限りの特別イベントをブーレー・テスト・キッチン(Bouley Test Kitchen)で行った。

左 昆布出汁の魅力について語るデビッド・ブーレー氏=7日、ニューヨーク(撮影:中沢) 右 種類の違う昆布について語る「奥井海生堂」の奥井隆氏=同

親日家でも知られるブーレー氏は4月、福井県にある「奥井海生堂」を訪れた際に和食に欠かせない「うまみ」を生み出す「昆布出汁(だし)」に魅せられたことから、この日、昆布出汁を使用した数々の料理のデモンストレーションを披露。ニューヨークでも随一を誇るブーレー氏の美食に、来場した多くの日本人や米国人ゲストらが舌鼓を打った。

イベントに登壇した「奥井海生堂」4代目主人の奥井隆氏は冒頭のあいさつで、「うまみ出汁というのは日本人にとって命のようなもの。母乳にもうまみがたくさん含まれており、われわれは生まれた時から『うまみ』のおいしさが脳内に刷り込まれている。外国の方にももっと取り入れてもらって楽しんでもらいたい」とうまみの魅力を示しつつ、「昆布出汁は水によって大きく味わいが変わってくる。和食はその微差をとても大事にしていて、料理によってどの昆布を使用するかも決まっている」と、昆布出汁の奥深さを熱弁した。

米国初上陸となる、熟成31年の利尻昆布から取った出汁を染み込ませた鴨肉にアンズタケ、ゴボウを添えたこの日のメイン料理=7日、ニューヨーク(撮影:中沢)

利尻昆布をはじめとする、北海道で採取されるさまざまな種類の昆布のプレゼンテーションやテイスティングが行われ、和食や昆布への理解を深めたあと、ブーレー氏は同店でも設置している「三菱ケミカル・クリンスイ」の軟水で引き出した昆布出汁を使用したディナーコースを振る舞った。

北海道で採取される昆布の出汁のテイスティングも。(前列左から)山出し昆布(真昆布)、日高昆布、羅臼昆布。後列は水を替えて作った利尻昆布の出汁=7日、ニューヨーク(撮影:中沢)

イベント後、ブーレー氏は来場したディナーコースを堪能したゲストらと親しげに会話や写真を楽しむなど、気さくな人柄をのぞかせる一面も見られた。土産には、とろろ昆布と利尻昆布のセットが手渡され、来場者らにとって昆布の魅力を存分に堪能した特別な一夜となった。

(2019年6月15日号掲載)

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