〈コラム〉米日教育交流協議会・代表 丹羽筆人「在米親子にアドバイス」日米の教育事情

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帰国後に日本の学校に適応できるために

家庭で正しい日本語を使うよう心がけることが必要

海外生活が決まった時は、子どもが外国語の環境でやっていけるのかどうか心配だったことでしょう。ただし、海外生活が実際に始まると、多少苦労することはあっても、ふと気が付くと、外国語で会話したり読み書きしたりしている姿を見て、ほっとしたという経験もお持ちではないでしょうか。しかし、帰国を予定している時期が迫ってくると、日本の学校でついていけるのかどうかという不安が頭をよぎることでしょう。
確かに、低年齢時に海外に渡った場合には、在外年数や個人差はあるものの、学齢相当の日本語力が定着していないということもありますし、日本での生活経験がないに等しいので、日本の学校生活になじみにくいということも予想されます。
例えば、外来語の発音が日本語的でないとか、日本語の発音が外国語的であるために、日本の子どもたちが違和感を持つことや、外国では当たり前になっている何気ない動作(目上や目下にかかわらず握手をする、分からない時に両肩を上げる、気に入らない時に親指を下にする、女子でも胡坐をかくなど)も目立ってしまいます。また、外国の学校では経験したことのない給食や掃除の時間に戸惑いを感じたとか、和式トイレの使い方がわからず、ずっと我慢していたという話を聞いたこともあります。日本の学校は、特に公立校の場合には、施設が古く、冷暖房も完備していないこともあります。
では、帰国後に子どもが困らないためには、どうすればよいでしょうか。
まずは、学齢に相当する正しい日本語が使えるように日頃より心がけることが必要です。毎週補習校や日本語学校に通学しているから大丈夫ということはありません。日本の教科書を正しく読めるからよいということでもありません。日常生活で正しい日本語を使っているかどうかが重要です。したがって、家庭生活の中では日本語を使い、正しい発音であるかどうか、助詞の使い方は間違っていないか、日本の子どもにはないような動作をしていないかなども確認し、その都度指摘することが大切です。
このようなことをしていると、外国語の伸長や外国の学校生活に支障があるのではないかという声も聞きそうですが、子どもの能力は柔軟性があります。複数の言語や複数の文化を使い分けることができますので安心してください。また、帰国してからは、親の心配をよそに、あっという間に日本語力が向上し、日本の文化になじめます。むしろ、せっかく身に着けた英語力の保持や向上が課題になるくらいなのです。
(次回は1月第4週号掲載)
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