〈コラム〉ケン青木の新・男は外見 第85回

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私見“クールビズ”

7931-illustration-of-a-bus copy今回はあえて私見を申し上げたく。日本で“クールビズ”が始まって早10年、個人的には戦前における国民服と五十歩百歩と考えており、馬鹿げてクダらないと思ってはおりますが、政府主導で行われている以上、私一人が否定しても仕方のないこと。そして目的の一つが酷暑の時期に上着を着ずに仕事をすることを国民的コンセンサスとすることで、必然的にシャツ姿でのビジネスを奨励、夏場のビジネススタイルの主役ということになりますね。で、問題がそのシャツなのです。
日本の官庁、また企業の人事の方には失礼ながら、洋服、紳士服の識者はいらしたとしてもごく限られた数。実は紳士服とは西洋の歴史の中で理論化されてきた学問でもあるともいえるのです。
ビジネスの国際化が一段と進んでいるとはいえ、文化的習慣的に西洋主導であることに変わりはありません。あくまで一般論ですが、たとえ夏場であろうと、シャツ姿でのシリアスビジネスの習慣はこちらにはないのです。ビジネス・カジュアルまたはオフィス・カジュアルという言い方はしますが、日本式のクールビズの考え方はないということです。従いまして日本の大手量販店などで販売されている色付きボタン、色付きのステッチワーク、また妙に襟が大きく、しかも2枚重ねとなっている一般的なドレスシャツの常識では考えられない上着なしのシャツ姿が、日本限定のクールビズのコンセンサス、常識となっておりますが、これについては、当地におけるシリアスビジネスの場においてはなるべく着用を控えていただきたいのです。千歩譲って、木曜日や金曜日にスーツではなくジャケットに合わせてそのようなシャツをお召しになられる程度にとめていただきたく。ここ数年、欧米でもシャツのボタンやボタンホールが色付きのものが売られてはおりますが、あくまでもウイークエンド向けのカジュアル用品として売られているはず。以前こちらで書きました紳士服のグルーピングとその組み合わせについての原理原則をぜひ思い出してください。それではまた。
(次回は5月23日号掲載)

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〈プロフィル〉 ケン青木(けん・あおき) ニューヨークに21年在住。日系アパレルメーカーの米国法人代表取締役を経て、現在、注文服をベースにしたコンサルティングを行っている。日本にも年4回出張。

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