〈コラム〉騙されないよう、賢く買い物を モノを買うときの消費者心理と情報の信憑性

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「永野・森田公認会計士事務所 日下武」ビジネスのツボ 第23回

皆さんは「AIDAの法則」というものを聞いたことがあるでしょうか。1920年代に応用心理学の分野で考えられた、セールスにおける顧客がモノを購買するまでの心理のプロセス、Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Action(行動)の頭文字を取ったものです。これと類似したもので広告宣伝に対する消費者心理プロセスにおいては「AIDMA」といい、DesireとActionの間にMemory(記憶)というものもあります。どちらにしても、商品を認知させ、買いたいという感情を起こさせて、行動させるというのが基本です。
この心理プロセスを考えながら、新聞の折込み広告を見ているととても面白いです。最近見たデパートの広告では「UP TO 80%OFF」などの文字が大きく書いてあり(注意)、どんなものが安いのだろうと詳細を見てみる(関心)と服や靴、家具やキッチン用品などいろいろなものが載っていて、更にクーポンを使うと20%割引できる(欲求)ということで、ギフトシーズンなので機会があれば行ってみようかな(行動)と思いました。普通に広告を見て、なんとなく思ったことが、実はこのように当てはまっています。
この法則はインターネット広告などがなかった時代に論じられたものです。2004年に電通がインターネット広告に対する購買行動のプロセスモデルを提唱しました。Attention(注意)、Interest(関心)、Search (検索)、 Action(行動)、Share(共有)というもので、「AISAS」と呼ばれています。検索という部分が変化したところですが、大きな違いは最後に商品評価をネット上で共有しあうというプロセスがあることだと思います。
昔から口コミは一番の影響力と信憑性があると言われていますが、その口コミが簡単にインターネット上で見られる時代になりました。ただし良い口コミを書いてもらうには企業は相当な努力をしなければなりません。消費者が商品に満足していてもネット上に投稿してくれるかは分かりません。良い口コミを創造するには、企業は顧客を満足させることにとどまらず、顧客を感動に導かせるような商品が必要なのかもしれません。一方、消費者にとっては、昔より情報は簡単に取得できるようになりましたが、その情報の信憑性を判断するのが課題となってきているように思います。中には悪い企業がお金を払って良い口コミを書かせている場合もあるようです。騙されないようにしながら、楽しく賢くショッピングできたらと思います。
(次回は1月第2週号掲載)

takeshi%20001[1] 〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を活かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーまで、幅広く顧客を持つ。【ウェブ】www.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ
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