〈コラム〉グリーンカードの放棄と長期にわたる米国外での居住

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当法律事務所には、グリーンカードをどうやって維持できるのか、どうすれば長期間にわたって日本に帰国することができるのかという質問が多く寄せられます。グリーンカードを保有しているということは、その人が米国に永続的に住むことを意味しています。また、米国内に家族がいる、米国内に銀行口座を持っている、米国に不動産やその他資産を所有している、米国の税務申告を行っていることなども含まれるでしょう。  グリーンカードを維持するために、米国内に年中ずっと住み続ける必要はありません。米国内に主要な居住場所を維持していれば、1年のうち6カ月、あるいはそれ以下の期間住むだけでもグリーンカードを安全に維持することができます。

グリーンカード放棄の懸念が出てくるのは、日本に帰国する場合や米国外に長期間居住する場合です。1年間以上不在の場合はグリーンカードの無効を求められます。6カ月おきに米国に戻り、数日間滞在することでグリーンカードを維持しようとしている方が多くいます。この方法は数年は通用するかもしれませんが、いずれ空港の入国審査官に米国での永続的な居住地を尋ねられ、グリーンカード放棄という結果を招くかもしれません。また、パスポートに押されたスタンプの米国内の滞在期間が毎年数日だけだと、審査官はあなたが「米国外に住んでいる」と判断するでしょう。
グリーンカードを放棄するかどうかは、政府がバランスを見て判断します。政府が考慮するいくつかの要因があります。
•毎年米国でどれくらい過ごしているか
•米国外で1年以上過ごしているか ?どこで働いているのか
•扶養家族、子供、その他の親類など、米国内に家族がいるか
•その人たちはどんなステータスか
•米国内に不動産を所有しているのか
•銀行口座、株式、債券など、その他資産をどこに所有しているか
•「非居住者」として米国の税務申告を行っているのか
しかしながら、グリーンカード維持に有利に働く要因もあります。それらは:

再入国許可証を取得する

再入国許可証は、米国政府がグリーンカード保有者に発行する旅行書類です。その人が長期間にわたり米国外に滞在するものの、グリーンカードを基に米国に戻ることを意味するもので、再入国が容易になります。再入国許可証は2年間有効で、4回まで更新できますが、申請の際、約1カ月後に指紋などの生体認証が行われるため、米国内にいる必要があります。
米国内に永続的な居住地を維持する上でのルールを遵守していない場合は、再入国許可証があってもグリーンカードの維持を保証することにはなりません。一番良いのは、少なくとも6カ月に一度は米国に戻ってくることです。

米国外で米国企業に勤務する

米国企業によって、米国外の子会社や関連会社に一時的に配置された場合には、米国内に住むという必要条件は例外扱いになります。

米国市民になる

米国市民になると、米国外にどれだけ長く住んでも米国市民権を失うことはありません。ただし、日本は二重国籍を許可していません。米国市民になると同時に、日本のパスポートは失いますので、お気を付けください。
(弁護士:リチャード A. ニューマン)
(次回は10月第4週号掲載)
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過去の一覧
(「WEEKLY Biz」2013年9月28日号掲載)

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