〈コラム〉米日教育交流協議会・代表 丹羽筆人「在米親子にアドバイス」日米の教育事情

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新学習指導要領導入による変化

伝統と文化、道徳教育、体験活動の充実に注目したい

日本の中学校では、4月から体育の授業で武道が必修化されます。新年度より導入される新学習指導要領「生きる力」では、学校で学ぶ内容を充実させ、多くの教科の授業時間が増加するのですが、体育も授業時間数が増えます。中学校では健やかな体を育てるという目標に沿って、様々な運動に触れることを充実させます。そのためにダンスとともに必修化されたのが武道なのです。
新学習指導要領には、2006年度に改正された教育基本法に規定されている教育目標が盛り込まれています。教育目標は第2条に5つ規定されていますが、その一つが「伝統と文化の尊重、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し、他国を尊重、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」です。中学校での武道の必修化は、この目標を実践するためのものでもあります。
このほかにも新学習指導要領では、伝統や文化に関する教育の充実のために、家庭科の分野で、地域の食文化や和服の基本的な着装などの学習が行われます。また、小学校の社会で国宝などの文化遺産、中学校の社会で身近な地域の歴史や各時代の文化の学習が行われ、小学校の音楽では、教材として扱う唱歌の曲数が増えます。(小学校では今年度より新学習指導要領が導入されています)
さらに、新学習指導要領では、道徳教育や体験活動を充実させる内容も盛り込まれています。「ゆとり教育」による学力低下の反省を踏まえた思考力・判断力・表現力、理数の力の育成、外国語教育の充実などと並んで、これらが盛り込まれていることは注目に値します。伝統や文化、道徳教育、体験活動などは、海外に暮らす日系人子女や日本人子女に特に学ばせたい内容だからです。武道、地域の食文化や和装、文化遺産や日本の歌、そして日本の道徳などは、海外では触れることの難しいものばかりです。
このように、新学習指導要領が導入された日本の学校は、今まで以上に海外で暮らす子どもにとっての魅力が増えています。この夏休みには、日本の学校での体験入学を検討してみてはいかがでしょうか。
実は、新学習指導要領に盛り込まれている伝統や文化、道徳や体験活動をすでに実践しているのが米日教育交流協議会の主催している「サマーキャンプ ◇ ぎふ」です。日本の里山、岐阜県揖斐川(いびがわ)町を拠点に、日本の自然、文化、歴史を体験的に学べる諸活動を6年間にわたり実践してきました。7年目となる今夏は、7月6日から19日の第1期、7月27日から8月7日の第2期の2回実施します。詳細は、当協議会のウェブサイトhttp://www.ujeec.orgをご覧ください。
(次回は4月28日号掲載)(「WEEKLY Biz」2012年3月24日号掲載)
UJEEC Website: www.ujeec.org

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