〈コラム〉米日教育交流協議会・代表 丹羽筆人「在米親子にアドバイス」日米の教育事情

0

将来の進路によって異なる入学システム

進路について考え、目標に向かって準備をしよう!

日本の学校と同様に、補習校でも新年度が始まりました。ただし、米国では年度途中ですし、新入生も同一校内で進学するので生活が一新することはありません。とは言っても進級する新年度は、進路決定の時期が近づいたということを確認し、将来について考える良い機会です。
高校生の場合は大学進学が迫ってきます。ここでは日本か米国かという選択ができるのですが、入学システムが異なりますので注意が必要です。米国では高校の成績(GPA)やSAT・ACTなどの統一試験のスコア、推薦書やエッセイなどの書類審査で入学者を選抜します。一方、日本では大学入試センター試験や大学が独自に行う学科試験の成績を重視します。ただし、日本でも、秋入学や英語での学位取得コースでは米国と同様に書類審査です。
米国の高校を卒業後に日本の大学を受験する場合には、帰国生入試で受験ができます。入試科目は、文系では英語と小論文と面接、理系では数学と理科と小論文、面接と国内生よりも負担が軽いですし、国公立大入試でも大学入試センター試験が免除されます。また受験倍率もそんなに高くはないので、ある意味では易しいとも言えるかもしれません。
一方で、帰国後に日本の高校に在学しても帰国生入試が受験できる大学もあります。しかし、この場合は国内生と同様に一般入試を受験せねばならないケースが目立ちます。また、米国の高校を卒業しても、入学したい大学・学部が帰国生入試を実施していなければ、一般入試の受験が必要です。入試科目は、文系では英語と国語、そして数学または地歴・公民、理系では英語と数学、理科、さらに国公立大や一部の私立大ではセンター試験が課されます。センター試験の科目は英語、数学、国語、理科、地歴・公民ですが、国公立大にはこれらすべてが課される大学も少なくありません。
このように日本の高校在学後に日本の大学を受験するのはかなり負担が重いですが、日本の高校に進学するのにも、学年に関わらず入学試験という関門が待っています。中学生の場合には、帰国すれば高校入試が待ち受けていると言ってよいでしょう。高校入試科目は英語、数学、国語、理科、社会の5教科ですが、帰国生の場合には英語、数学、国語の3教科のみという学校や、英語や作文のみという学校もあります。中には国内生と同様に5教科の入試が課されたり、中学校の成績が入学審査の対象になったりする学校もありますので注意が必要です。一方、米国の学校の成績や推薦書などの書類審査のみという学校もありますが、英検やTOEFLなどでの優秀な成績が求められます。
将来の進路によって入学システムが異なることを理解し、新年度を機会に目標を定め、早めに準備をすることをお勧めします。
(次回は5月25日号掲載)(「WEEKLY Biz」2013年4月27日号掲載)
◇ ◇ ◇
米日教育交流協議会のウェブサイトにて、当コラムのバックナンバーもお読みいただけます。
UJEEC Website: www.ujeec.org

過去の一覧

Share.