〈コラム〉家主はいくら家賃を上げることができますか?

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賃貸料は自在だが、交渉の余地あり

タイチ不動産「不動産と住まい事情あれこれ」第100回

質問:アパートの賃貸契約更新時に家主が家賃を引き上げることができる割合を教えてください。私たちには昨年の2100ドルではなく2300ドルの新しい家賃の更新契約書が家主から渡されています。

回答:契約更新時に家賃上昇が法的に制限されているアパート(rent-controlled, rent-stabilized apartment)に住んでいない場合は、家主が自由に賃貸料を上下することが可能です。マーケットの状況は無視できないにしろ大家が決定権を持っています。

ですから今回の値上げは莫大(ばくだい)ではありますが、違法ではありません。

とはいえこの家賃の値上げはなかなか厳しいです。特に昨年ニューヨーカーの賃金は3.9%しか上昇しませんでした。値上げ分200ドルで、9.5%の賃貸料増加は毎月の家計にも多大な損害を与えることでしょう。

それで、あなたは何ができるでしょうか? 別のアパートに引っ越しを検討しますか?

もし200ドルが許容範囲外だとしたら家主と交渉してみてください。あなたの家主が大企業ではなく個人である場合だと、十分交渉の余地が考えられます。そのためにあなたには交渉の材料が必要です。

まず新しい家賃ではあなたはアパートに入居する資格がないかもしれないことを指摘してください。「40倍の家賃ポリシー」の入居条件では、現在の2100ドルの家賃の入居資格を得るには年間8万4000ドルの収入が必要でした。しかし2300ドルの家賃ではあなたは9万2000ドルを稼ぐ必要があります。あなたには昨年そのような昇給があったでしょうか?

今住んでいるエリアの家賃を調べてください。StreetEasyや他のサイトで同エリアの賃貸リストから同程度のアパートの賃料を調査してください。2300ドルの賃料がマーケットプライスから乖離(かいり)していることを証明するのです。マーケットの値頃感を客観的に大家に提示しましょう。また今年ニューヨークの賃料ガイドライン委員会(NYC rent guidelines board)がrent-stabilizedアパートの賃料上昇の上限を1・5%としたことを指摘してください。

今回の家賃上昇があなたにとって受け入れがたいものならあなたは引っ越しを考えなくてはなりません。家主が家賃上昇に伴って見込んだ彼の収入増はあなたの引っ越しにより1カ月か2カ月の空室をもたらし、家主の収入増は一掃されてしまうことはあなたの有力な交渉手段です。

同意できる値上額(月に50ドルか75ドルの値上げでのカウンターオファーはどうでしょうか)が決まったら家主とのアポイントを取りましょう。

これで交渉をする準備ができました。

(タイチ不動産 茂古沼孝)
(次回は7月第3週号掲載)

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