直せなかったシミ・汚れ・傷などを新品同様に

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日本のアパレル修整技術、米国でも

(株)桑原の米国拠点のアメリカ東華修整(有)

 

革製品1 革製品2
修整前 修整後 
洋服1 洋服12

 

NYでは個人持ち込みも受け付け

世界に誇る技術力でさまざまな業界に改革を起こす日本企業がある。一般にはその名が知られていなくとも、業界では知らぬ者のいない、全体のビジネスに大きな改革を起こす数々の企業。株式会社桑原(本社・愛知県一宮市、代表取締役社長桑原英寿。以下、桑原)」もその一つ。アパレル業界の流れに大きな変化をもたらしたアパレル検品、修整(補修)・加工の日本国内最大手だ。

高度な補修技術

以前は縫製工場で縫製前の反物にシミや傷が発見されたら、処分するか返品するしか手がなかった。鞄や靴の部品に欠陥が発見された場合も同じだった。しかし、桑原は布、革、ボタンや金具などの部品を高度な技術で補修(修整)するのが業務で、これまでは「処分するしかなかった素材・商品」を、修整して新品と同じ状態にすることで、アパレル業界に、手間・時間・コストなどの大幅削減を実現してきた。

桑原の“B to B(企業間取引)”先は、大手アパレルメーカーをはじめとし、約2万5000社に上るという。

米国での拠点となるのが、「アメリカ東華(とうか)修整有限会社」。2014年2月から米国全土の市場調査を開始し、昨年6月に法人を設立、同年11月にウエスト38丁目のアパレル街にニューヨーク工場を立ち上げた。

NYに拠点構え

代表取締役の高東華(こう・とうか)さんは、桑原の海外事業担当としてキャリアをスタートさせた。日本発信の高度な技術で業界を変えていくことに、もともと大きな意義を感じていた。14年からの市場調査で米国には高度な修整サービスを提供できる会社がないことが分かり、ニューヨークに拠点を構えてからは、さらに大きなやりがいを感じる日々だという。

桑原の技術を米国で広めていくことに情熱を掛ける、アメリカ東華修整有限会社の代表取締役高東華さん

桑原の技術を米国で広めていくことに情熱を掛ける、アメリカ東華修整有限会社の代表取締役高東華さん

米国現地の縫製工場で反物や部品に不良品が発見された時、これまでは、海外へ返品するか、現地で処分するかの二者択一だった。そこに同社が参入したことで、修整することで商品を販売できるようになった。面倒なパーツ交換が必要と判断されたものでも、修整すれば、多大な返品、廃棄のロス費用削減できる。

「(これが)大きなコスト削減になるので、さまざまな都市から受注を頂いています。現在はロサンゼルス、アトランタ、デトロイト、カナダのトロントなどが多いです。検品や出張検査などのため、それぞれの地に出向いています」と話す高さん。多忙な日々だが、大きな手応えがあることがうれしいと目を輝かせる。

同社の修整工場は現在、米国内ではバージニアビーチとニューヨークの2カ所。アジアでは東南アジア、中国など、合計14カ国41工場を展開している。

「52年培った日本が誇る技術を、アメリカで広げていけたらうれしい」

米国に進出してきてまだ時間が浅いので、日本の桑原の拠点があるということを知っていただけるだけでうれしいと高さんは話す。

NYでは個人持ち込みも受け付け

ニューヨーク工場では、個人の持ち込みも受け付けている。「高級スーツに穴が空いてしまった」「大事な革靴が雨で傷んでしまった」「セーターに小さな虫食いを見つけてしまった」「長年愛用している財布が色落ちしてきたが、直せないか」「クリーニングでも落ちないと言われたシミがある」―。これら全て「直せます」と高さん。Eメールや電話で連絡を取り、見積もりのために一度写真を送付すれば、修整可能かどうかを判断してもらえる。

判断基準は「クリーニング店や通常の修理店で手に負えない場合、私たちにお店ください。独自開発した特殊な薬剤などで修整しますので、ほぼ全て直りますよ」。個人のワードローブから米国のアパレル業界まで、同社が巻き起こす旋風は大きなものとなりそうだ。

◎情報
アメリカ東華(とうか)修整有限会社
【ウェブ】www.toukatechno.com/
【住所】262 W 38th St. Room 205 NYC
【営業時間】午前9時〜午後6時 ※午後6時以降に現品を持ち込みたい場合、営業時間内に電話で予約を。
【電話】212-600-1029、212-600-1457
【Eメール】touka1@toukatechno.com

(2016年8月6日号掲載)

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