〈コラム〉中川扶二夫 「逃げない、がKeyword」第31回

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たまに意識して生活を変えてみる

中川扶二夫
ラグビー日本代表がワールドカップで3勝。
五郎丸選手のあのキックの正確性たるや、ルーティンワークの結晶だそうです。練習の際にもあの独特な“忍者ポーズ”をしてからキックするのだそうです。

さて、このルーティンワークですが、必ずしもいいことばかりではありません。例えば避難訓練で、警報が鳴ったら常に同じ道を使って高台へ行く訓練があるとする。これを延々繰り返し頭でなく体で覚えてしまえば、無意識のうちに確実に早く避難できるでしょう。しかし、本当の災害で訓練のルートが通れなくなったらどうでしょう。他のルートを考えた事がないので、頭はパニック状態になるはずです。挙句、無理やりいつものルートで行こうとして避難が遅れてしまう可能性があります。

人生も同じです。毎日が同じルーティンにならないよう、たまに意識をして生活を変えてみるといいですね。通勤ルートを変えてみる、服装の色を変えてみる、悩みの相談相手を変えてみる、些細なことでも新しい発見があるものです。私はたまに、通勤時に遠回りや歩くルートを変えてみます。つい最近も、いつもは通らない道に新しいおしゃれなカフェを発見、それだけでも得した気分になるものです。

人間は40歳を超えるとなかなか性格やルーティンを変えられないと言われています。冒険心が消え、安心を最優先しているからです。子供の頃はあんなに好奇心旺盛だったのに、大人になると新しいものに触れてみたいという気持ちが失せるものです。生活が単調にならないよう、ルーティンの中にも新しさを求める気持ちを意識して持つこと。そう難しく考えず、身近で簡単にできることをトライしてみればいいのです。人生は、ルーティンによって培われた安心感も必要ですが、たまには目先をかえて、真逆の発想から学ぶことはとても大事ですし、なによりエキサイティングです。

【執筆者】なかがわ・ふじお 広島県出身。1988年にニューヨークに一人で渡り起業。在ニューヨーク25年。この間にアムネットをはじめ八つの会社(18拠点)を日米で立ち上げる。成功よりも失敗を肥やしに独自の「家族型経営」が世界で通用するかをチャレンジしている。現在、異業種進出を含め、アジア、南米、欧州への進出を計画中。

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