〈コラム〉ネットの情報収集には注意が必要

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永野・森田公認会計士事務所 日下武「ビジネスのツボ」 第85回

昔は情報収集は新聞やテレビのニュースといったところでしたが、今はスマートフォンの普及に伴なって、ソーシャルネットワークやネット掲示板など一般の人からの意見や情報を受け取ることが簡単になりました。

私もよく利用するのですが、なんとなくレストランの情報などは新聞を見るよりもYelpなどの一般の人の評価を見るほうが信憑性があるような気がします。ただし、情報が増えすぎて錯乱状態にあるのも確かです。

2018年のタックスリターンの返金が少なくなったという書き込みを見ました。それに賛同して、利率が上がったのではないかなどの書き込みもありますが、私個人の意見としては、控除金額が減ったものもある反面、増えたものもありますので一概には言えないと思います。ただし、給与支給の人は2018年度は2017年度と比較して源泉徴収額が減少、結果的に月々の手取りが増えていることが多く、タックスリターン時の返金額に影響している可能性もあります。

去年夏に日本で関西空港の連絡橋にタンカーが衝突して旅行客がターミナルから移動ができなくなる事故がありました。ターミナルには中国人や台湾人も多く残っていたようです。数日してバスが救出に現れました。中国大使館が手配したバスだということで、そのバスを利用した乗客たちはソーシャルメディアを使って中国政府に対してたくさんの賞賛の書き込みをしたようです。そこまでは良い話かもしれませんが、その書き込みの中にはバスに乗ろうとした台湾人に対して「自分のことを中国人と認めることが乗車条件」などとも書かれていて、そのことが台湾で大きな問題となったようです。

台湾内では駐日台湾大使館が早急に救出の対応できなかったからこのような事態となったと大阪駐在中の台湾外交官に矛先が向けられ、多くの批判的なネットの書き込みがあり、とうとう当時の外交官は自殺をしてしまいました。結局、その後の調査でバスは中国大使館が手配したものではなく、関西空港が手配したものということがわかり、「自分のことを中国人と認めることが乗車条件」などという事実はなかったということが判明されました。フェイクの書き込みの拡散によって人の命も奪ってしまう時代になってしまいました。

ソーシャルメディアは使用の仕方によっては便利ですが、このような悲劇も生んでしまいます。情報収集や書き込みの取り扱いに対しても個々の注意が必要になると感じます。

(次回は4月第2週号掲載)

business-kusaka-takeshi〈プロフィル〉 日下 武(くさか たけし) 永野・森田公認会計士事務所NJ拠点マネージャー。大手日系食品商社での営業経験を生かし、顧客の立場になって、全体的なビジネス、会計、税務相談を受けている。メーカーからレストラン、リテーラーマで、幅広く顧客を持つ。

ウェブwww.nagano-morita.com/ Tel:201-363-0050 E-mail:tkusaka@nagano-morita.com 2125 Center Ave., Suite 104, Fort Lee NJ

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