〈コラム〉移民法の提案②

0

STAR法 (新たなSTEM 学生に関する法案)

永住権取得のプロセスを合理化し、科学・技術・工学または数学(STEM)の分野において、米国の修士号または博士号の高度な学位を有する外国人に、5万5000件の雇用ベースの永住権(グリーンカード)を追加で発行する法案である「Securing the Talent America Requires for the 21st century Act(STAR Act)」が、米上院議員ジョン・コーザイン氏(テキサス州・共和党)により提出されました。
この新法案は、未発行分の雇用ベースの永住権を毎年無駄にするのではなく有効に利用し、長期間の雇用ベースの永住権の滞りを緩和しようとするものです。また、この法案は特定の雇用ベースの移民に対し、「優先日」と呼ばれる永住権の申請日の順番を待たずに、永住者へのステータス変更の申請を許可するというものです。しかしその場合でも、優先日の順番が回ってくるまで永住権は承認されません。
STAR法はまた、米国の研究機関からの該当するSTEM修士号か博士号を保持する者に対する、新たな雇用ベースのサブカテゴリー(EB―2)を設けることになります。米国の研究機関とは、連邦政府より500万ドル以上の研究開発費を受け取っている、または少なくとも10年間存続している大学の一部、と定義されます。
この法案によると、STEM高度学位保持者には優先的にEB―2永住権番号を得る権利、および追加で5万5000件の永住権の権利が与えらるようになります。なお、追加分の永住権は、移民多様化ビザ抽選プログラムを廃止することにより釣り合いが取られます。

STEM

F―1の大学院生には、非移民ビザであるF―1ステータスを問題なく保持したまま永住権を申請することが許可される「dual intent(二重意図)」が適応され、外国に居住地を維持する必要がなくなります。
Streamlined Labor Certification Procedures:STEM高度学位保持者は、労働証明の手続きの対象となります。しかし、STEM博士号保持者はshortage occupation(人材不足の職種)のケースとして扱われ、PERMプロセスを回避し、米移民局へ直接申請を行うことができるようになります。
STEM修士号保持者は、大学教師の場合に似たPERM労働証明の“特別処理”の対象となります。最小限の適性がある米労働者に比べ、STEM修士号保持者の方により適性がある場合、雇用主はPERM認証が許可されます。
STAR法は現在、立法プロセスの初期段階にあり、ここ数カ月の間に議会に提出されたその他のSTEM移民法案の仲間入りをしました。これまでのところ、どのSTEM法案も可決されていません。
(弁護士:リチャード A. ニューマン)
(次回は8月25日号掲載)
〈今週の執筆事務所〉リチャード・ニューマン法律事務所 
500 Fifth Ave, Suite 3020, New York, NY 10110(bet 42nd & 43rd St)
 
Tel:212-986-0947 
Fax:212-986-0921 
E-mail:rnewman@richardnewmanlaw.com

Web:richardnewmanlaw.com

過去の一覧
(「WEEKLY Biz」2012年7月28日号掲載)

 

Share.