〈コラム〉米日教育交流協議会・代表 丹羽筆人「在米親子にアドバイス」日米の教育事情

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日本での日本語・日本文化体験学習の意義

正しい日本語の使用と日本的なマナーの実践が重要

7年目を迎えた米日教育交流協議会主催の日本語・日本文化体験学習プログラム「サマーキャンプ ◇ ぎふ」実施のために日本に滞在しています。昨年は東日本大震災の影響もあり、参加者が少なく1期間のみに縮小して実施しましたが、今年は募集した7月6日から19日の第1期と7月27日から8月7日の第2期とを予定通り実施しています。ここでは、すでに終了した第1期の実施の様子を簡単にご報告させていただきます。
第1期は13泊14日の中に5日間の学校体験、2泊3日のホームステイ、1泊2日の寺院体験を組み込みました。このほか、竹細工や木工、そば打ち、地元企業の工場見学、岐阜県自慢の清流での川遊びなども行いました。
学校体験では毎年地元の町立小中学校と県立高校にお世話になっています。今年体験入学した中学校の生徒数は27人、小学校の児童数は25人とかなり小規模です。サマーキャンプ参加者のシェアが高いので先生方のご負担は大きいですが、より多くの児童生徒が交流を深められると高評をいただいています。参加者にとっても決して少数派でないことが心強かったようです。
地元企業の工場見学は、日本の学校の社会科教育とキャリア教育に準ずる指導をするために行っており、今回は石灰工場と印刷工場を見学しました。日本語での事業内容の説明は難しいのですが、ものつくりの現場を垣間見ることによって、日本の技術の素晴らしさを感じたようです。
寺院体験は禅宗寺院にて1泊2日で行っています。座禅、読経をはじめ、禅宗の食事の作法も体験します。正しい姿勢で心を落ち着けることやものを大切にする心を育みました。また、住職による寺院の歴史、日本の歴史、仏教の起こりなどの講話も聞きます。人の話を聞く態度についても学びました。
そして、このキャンプで一貫して実施しているのが正しい日本語の使用と日本的なマナーの実践です。参加者の多くは米国に暮らしているものの、母親または父親が日本人であったり両親とも日本人であったりします。英語の方が得意ですが、日本語もできますし、日本社会とのかかわりも大きいです。このような子どもが成長した時に、日本社会でも問題なく生きていけるように指導しています。具体的には、挨拶やお礼の言葉の励行、人の話を聞くときに私語を慎むこと、仲間と一緒に協力すること、他人を思いやることなどを実践しました。
キャンプ終了時の感想を聞くと一番心に残っているプログラムはホームステイと川遊びという回答が多いのですが、主催者の思いが心の片隅に残り続けることを願っています。
(次回は8月25日号掲載)(「WEEKLY Biz」2012年7月28日号掲載)
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米日教育交流協議会のウェブサイトにて、当コラムのバックナンバーもお読みいただけます。
UJEEC Website: www.ujeec.org

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