集夢計画4「有志者事意成」

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アーティスト・林世宝「チリも積もれば芸術に」第6回

(右から)大島渚監督、陳湘琪、大平和登氏、筆者。1995年頃

30年以上もアート一筋でやっておりますと、人との出会いの数ほど激励の言葉をいただきます。「有志者事意成(志のある人はどんなに難しいことでも成し遂げられる)」という言葉は、東宝映画の元ニューヨーク代表であった大平和登氏が帰国前に私に贈ってくれました。

大平氏とは、私がニューヨークに来てまもなく知り合い、すぐに夢を打ち明ける間柄になりました。芸能界と交流の深い氏は、黒柳徹子さんや大島渚監督などのゲストが日本から来られると私を紹介してくれました。大島監督と会ったのは、ちょうどニューヨーク映画祭の最中で、台湾のエドワード・ヤン監督の映画の主役を務めた友人の女優・陳湘琪(チン・シャンチー)も一緒でした。林君の夢を監督に話してみたらという言葉に誘われ「私も映画を作りたい」と言うと、監督は「映画で儲けようとするのは大間違い。資金や脚本、様々な方面への工面はどれほど苦労が多いか。プロでも難しいのだから、君はその倍は努力しないと。大変ですよ、頑張ってください」と笑いながら話されました。

高校の担任だった先生には「天下無難事・只怕有心人(世の中に難しい事はない、心を注いで進めば成功する)」と言われ、友人のヒロ能塚氏は「林さんが発表した事は必ずできると信じているから、ネバーギブアップ」と言ってくれます。

これまでも、応援してくれる人たちの言葉や真心は、私の力となって蘇り、作品に反映されてきました。「集夢計画」は、これまで数十年受けてきた激励への恩返し、総決算となる作品。「夢想是往理想的方向、一歩一歩踏実的追求是不譲夢想成為妄想(夢は一歩一歩着実に踏みしめて理想の方向へ向かわねばならない、なぜなら夢は容易く妄想となるから)」と心に言い聞かせ歩みを進めます。

林世宝

〈プロフィル〉リン・セイホウ 1962年台湾生まれ。日本に留学中に日展、日仏現代美術展に出展し数々の賞を受賞。その後、渡米し、96年NY大学大学院修士課程を修了。NY現代美術展メディア賞、アジア傑出アーティスト賞などを受賞。世界中から素材を集める、ハート集結シリーズの代表作には「智恵の門(愛知万博)」、「ラブツリー(20万のおしゃぶり)」がある。NY在住。【フェイスブック

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