“単なるレンタル”脱却、売り上げ5倍に

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「これからは海外でさらなる展開を」

TKP代表取締役社長 河野貴輝氏にインタビュー

 

河野貴輝

インタビューに応じるTKP代表取締役社長の河野貴輝氏

日本全国で1640室、11万7000席を越える貸会議室を運営し、海外でもニューヨーク、上海、香港、シンガポール、ミャンマー、台湾の6都市で事業を展開する株式会社ティーケーピー。2005年8月に取り壊しの決まった六本木のビルを時間貸しの貸会議室として再生させたのが全ての始まり。昨年10周年を迎えた同社は、今年以降、海外でさらなる展開を目指しているという。TKP代表取締役社長の河野貴輝氏がニューヨークでインタビューに応じ、明らかにした。

創業当時、同社が提供したのは「空いている場所を有効利用し、宴会場や会議室として貸し出す」サービス。「空間再生流通事業」と名付けたこの事業で同社は急激に存在感を増していき、初年度1億8000万円だった年間売上高は、開業から5年たった2010年に43億円を越えた。

そこから先は、さらにドラマチックだった。11年から16年までの間に売上規模は約5倍に。今年3月の試算によると、16年の年間売上高は230億円を超える見込みだ。

最初の5年間は、土日しか使われていない結婚式場を平日に会議室として使うなど、空いているスペースを見つけては次々に再利用していった。会議室をどんどん作る、シンプルなビジネス。比べて急成長した次の5年間は、付加価値を創造していった時代。

「音響」「空調」「照明」、ホテルのような「クローク・サービス」「宿泊施設付きの会議室」「ケータリング・サービス」など、会議室から派生して考えられるビジネスを深めていっただけでなく、企業の保養所を買収し、旅館やビジネスホテルとして再生させる事業にも乗り出す。会議室ビジネスのノウハウと宿泊施設運営のノウハウを組み合わせ、企業研修が可能な「リゾート研修ホテル」を開始した。「単に場所を貸すだけでなく派生のサービスを提供していったことで、売り上げが5倍になったのです」(河野社長)

11年以降、海外進出をスタート。13年8月からニューヨークでも事業をスタートし「黒字化のめどが立ってきました」(河野社長)

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「TKP New York Empire Ballroom」

同社が提供する会議室サービスは、五つのグレードに分かれている。地域密着型のこぶりな会議室「スター貸会議室」、小規模会議室の集合体で、一回り大きめのスペースも提供する「ビジネスセンター」、ホテルのような会議施設を提供する「カンファレンスセンター」。そして、会議室としてはかなり高級なイメージで、式典や総会の会場としても使える「ガーデンシティ・プレミアム」シリーズと、最高品質の多目的ホール・ホテル宴会場である「ガーデンシティ」シリーズ。

ニューヨークではあえてこの上位グレードを提供することで、高品質なフルパッケージを求める米企業の利用数を伸ばしてきた。

NJでノウハウ生かし新たな挑戦

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ニュージャージーの「クラウンプラザホテル ニューアークエアポート」のルーム内

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ニュージャージーの「クラウンプラザホテル ニューアークエアポート」外観

そんな同社の新しい挑戦がニュージャージーで始まる。フレンドウェルグループ、アパホテル株式会社と合弁会社を設立。ニューアーク空港から車で4分の「クラウンプラザホテル ニューアークエアポート」内の宴会場の運営を今月27日から「TKPクラウンプラザ ニューアークエアポート」として開始する。これまでに培ったノウハウを生かし、レストランやカフェテリアの運営、宿泊者の朝食を提供するのもこの合弁会社だ。「ここまでは“200億円までの絵”。2016年以降は海外での展開をどう進めるかにかかっているのですよ」と目を輝かせる河野社長。同社の躍進から目が離せない。

〈企業情報〉
▪米国現地法人▪
【住所】TKP New York, Inc. 109 W 39th St
【ウェブ】tkpny.com/
▪本社▪株式会社 ティーケーピー
【住所】東京都新宿区市谷八幡町8番地
【事業内容】空間再生流通事業・ホテル宴会場・貸会議室運営事業、ホテル&リゾート事業、料飲・ケータリング事業、イベント運営制作事業、コールセンター・BPO事業
【ウェブ】tkp.jp/

(2016年7月16日号掲載)

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