〈企業トップインタビュー〉ハウスフーズアメリカ社・社長 名武茂氏

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質の高いものを提供
強み活かして成功を

米国人に豆腐の食べ方を提案

08-09-12HouseFoods 「ハウス食品」がアメリカで豆腐事業に参画したのは、1983年。100%出資の会社として活動を始めたのは、今から15年ほど前の93年。豆腐ビジネスをアメリカで行うようになる道のりと今の現状について、ハウスフーズアメリカ社社長である名武茂氏にお話を伺った。
―元々はどのような経緯でアメリカに進出されたのですか?
名武社長 83年にLAで「ひので豆腐」としてロスで豆腐を作られている山内さんという方と私どもの2代目社長との出会いがあり、共同運営という形で「ハウス食品」がアメリカで豆腐を販売し始めたのが一番初めです。そして、93年には弊社100%出資の会社に変わり、現在に至ります。
―2006年にはニュージャージーにも工場を建設されましたが、アメリカでの豆腐自体の認知度が高まっていることの現れでしょうか?
それはもちろん、高まっていると思います。「TOFU(豆腐)」というのはもう英語にもなっていますし、殆どのアメリカ人に通じますしね。そんな環境の中で、もっと多くの需要があるのではないかと、ニュージャージーに出させていただいたことは間違いないです。また、アメリカにおけるアジアの方達の人口も増えているので、我々のベースとなるところのマーケット自体も広がっており、まだまだチャンスはあると思っております。
―デリなどでもよく見かけますし、すでに豆腐はアメリカ社会の普通の食生活の中にとけ込んでいますね。
ええ。ただ、アメリカの人たちが実際にどうやって食べているんだろうと考えた時、今はまだこれだというメニューがなかなかないと思います。アジアの人達がどのようなメニューで、家庭の中でどんな豆腐の食べ方をしているのかは想像できるのですが、アメリカ人についてはまだ分からないですね。ですので、メニュー開発をして誰でも作ることができ、おいしく食べられるものを探す取り組みは今後の課題の一つです。
―その他、アメリカに住む人をターゲットにするために何か考えていることはありますか。
今は、あくまで日本式のウォーターパックの形で豆腐を売っていますが、マーケットの大きなアメリカの白人系の方たちに訴えていくために、やはり彼らの目からみて使いやすい姿にして提供することも必要だと思うのです。日本式の食べ方がこうだよとか、日本式の豆腐はこうだよっていうのを押し付けるのではなく、本当に彼らが欲しているものは何なのかをよく分析した上で新しい商品を作っていきたいと思っています。例えば、水に浮いている豆腐が気持ち悪いという話をよく聞くのですが、そのことを考慮に入れてウォーターパックではなく、バキュームパックにするなどということですね。それから味をつけてみるとか、もっと違う形にするなど、まだ答えは出ていないですが、お客さんのニーズに合わせていく姿勢で、新しい商品の開発をしたいと思っております。
―ここまで成功した秘訣は?
今はまだまだだと思っていますし、ビジネス自体の可能性はもっと大きいはずだと思っているので、これから成功するというつもりでいます。そういう意気込みでやっていく上で、やはり根本にあるのは、我々日本のハウス食品の子会社として、モノ作りに対するこだわり、つまり他社よりも品質的に優れており、安心・安全というものをきちんと確保して商品を提供するという姿勢を大切にしたいと思っています。日本からの技術支援などを含め、質の高いものを提供できることが我々のもっている強みなので、その強みを活かしてこれからもビジネスを考えていきたいと思います。

なたけ しげる 兵庫県出身。1983年ハウス食品入社。福岡支店勤務後資材部にて原材料購買を担当。2006年よりハウスフーズアメリカ社に赴任、現在に至る。趣味はランニング、読書。ランニングは年に1度のマラソンを目指し、読書は乱読。城山三郎に感銘を受ける一方で、藤沢周平で心を癒す。東野圭吾、宮部みゆき等ミステリー小説を出張の友としている。
(2008年9月12日号掲載)

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