〈新年あいさつ〉時事通信社NY総局長 服部 健司

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復活の美しさ

Hattoriみなさまにとって2014年はどんな年だったでしょうか。辛いこと悲しいことはいったん忘れてリセットできるのが新年のいいところだと思います。とはいえ、楽しい思い出、心地よい記憶はずっと保存しておきたいものです。
わたくしはと言えば、仕事ではぱっとしなかったけれども、テニス人生において初めて、グランドスラム大会(USオープン)を生で観戦。錦織旋風には遭遇できませんでしたが、決勝までいったマルチナ・ヒンギスのダブルスを間近で見ることができました。ナブラチロワにあやかって命名されたヒンギスは早熟の天才でした。1997年に16歳で世界ランキング1位となったものの、次第にテニスへの情熱を失って22歳で引退。その後、復帰と再引退を経て、昨年ダブルスで再復帰していたのでした。
やはり天才少女と言われながら燃え尽き症候群となり、マリファナ所持で逮捕されたカプリアティも、見事復活を果たしました。成功しませんでしたが、あの伝説のビヨン・ボルグも現役復帰を試みたことがあります。かつての名選手が戻ってくると、それだけで応援したくなります。復活し、再起する姿は美しいからでしょうか。
失敗や挫折や転落からはい上がろうと、何度でもチャレンジする。周りもそれを応援する。よく言われるように、ここにアメリカの強さと魅力があると思います。
そういえば「復活」を掲げる政権が目につきます。「日本を取り戻す」とか「中華民族の偉大な復興」とか。プーチンもそうです。国民の心の琴線に触れるのでしょう。ただ排他性が強いことがちょっと気になります。何はともあれ、2015年がすばらしい年になりますように。

(「WEEKLY Biz」(ニューヨーク)2015年1月1日号掲載)

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