中学生で帰国する場合の学校選び

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公立中学にはない私立中学の魅力とは?

「在米親子にアドバイス」日米の教育事情
米日教育交流協議会(UJEEC)・代表 丹羽筆人

日本では、中学生の約90%が公立校に在籍していますが、近年では中高一貫校化や高校の中学併設が進み、首都圏のみならず、地方都市でも私立中学や国公立の中高一貫校への進学者が増加傾向にあります。
帰国生の場合は、国立中学や私立中学に目を向ける保護者も多く、約40%の生徒が進学しています。中には、公立中学に入学・編入学したものの、途中から私立中学に編入するケースもあります。
公立中学とか国立中学とか私立中学とかにかかわらず、お子さんが、その学校に馴染めるかどうかは分かりません。入学・編入学後に学校を変わることのないように、帰国前から学校選びのための情報収集をされることをお勧めします。

ここでは、公立中学と異なる私立中学の特徴を学校選びのポイント別に、ご説明させていただきます。

◎通学手段や時間
公立中学と異なり、遠方となる可能性が高いです。通学手段や通学時間に加えて、通学経路の環境の確認も必要です。また、通学可能な地域を特定したり、通学時間の制限を設けたりする学校もあります。寮があれば、自宅が遠方であったり、保護者が海外在住であったりしても入学できますが、中学生の年齢での、親元を離れての生活となりますので、お子さんの気持ちや性格などを考えた方が良いでしょう。

◎独自の校風
キリスト教や仏教などの宗教系の学校では、宗教の時間があったり、先生方も信者だったりすることもありますが、ご家庭が信者である必要はありません。また、スポーツに力を入れている学校、東大や京大などのトップレベル大学を目指している学校、などの違いがあります。

◎男子校、女子校
公立中学とは異なり、男子のみ、女子のみという学校もあります。共学校よりも長い伝統があり、ユニークな校風の学校が目立ちます。

◎制服
長年の伝統あるデザインを踏襲している学校や最新のトレンドを取り入れている学校が目立つ一方で、制服のない学校もあります。

◎カリキュラム
文部科学省の定めた各教科等の授業時数を変更し、授業時数を増やしたり、進度を早めたりしている学校があります。英語教育や理科教育に力を入れている学校もあります。また、国際バカロレア(IB)の認定校もあり、高校の課程では、世界中の大学に進学できる資格のあるIBディプロマの取得できるプログラムが受講できる学校もあります。

◎英語教育が充実
英語の授業時間数を増やしたり、ネイティブスピーカーによる授業や英語検定試験対策の授業を行ったりしている学校があります。英語力の高い帰国生のための特別クラスを設けている学校もあります。また、海外での語学研修や修学旅行を行っている学校もあります。

◎帰国生へのサポート
英語の特別クラス以外にも、日本語の補習や生活面のサポートを行っている学校もあります。

◎中高一貫校
高校入試がありませんので、大学入試を目指してじっくり勉学に取り組んだり、部活動など課外活動に励んだりすることができます。一方で、他の学校より進度が速く、学習のペースについていけないということもあります。

◎大学付属校・系属校・系列校
高校入試のみでなく、大学入試もないという学校もあります。ただし、大学進学のためには、中学や高校での一定ライン以上の成績が必要です。それを下回った場合は、大学受験が必要になりますし、同系列以外の大学への進学を希望する場合には、大学受験をする必要があります。系列校の場合、校名に大学名が記されませんが、付属校と同条件または準じた条件という学校もありますが、指定校推薦入試制度で優遇される学校もあります。

◎入学試験・編入学試験
帰国生の入学試験は国語と算数の2教科、編入学試験は国語、数学、英語の3教科が主流ですが、公立中学と異なり、受験対策の学習が必要です。中高一貫校では進度が速く、入試の出題範囲が異なる場合があります。英語力を重視し、入学試験に英語を課したり、英検合格級やTOEFLなどのスコアを求めたりする学校もあります。また、ほとんどの学校で面接が課され、保護者同伴での面接も目立ちますので、保護者の面接対策も必要です。

◎施設・設備
ICT教育充実のため、PCやプロジェクターなどIT機器やWi-Fiなどの通信設備が充実している学校が目立ちます。中には、全生徒にPCを支給している学校もあります。新型コロナウイルス感染症による臨時休校中も、オンライン授業を行う学校が目立ちました。また、給食がない代わりに、食堂やカフェテリアなどがあり、食事を提供している学校もあります。

帰国生を受け入れる学校は、海外子女教育振興財団のウェブサイトにて確認できます。また、各々の中学校の詳細情報は、各校のウェブサイトにて閲覧できます。

(写真提供:名古屋国際中学校・高等学校)

丹羽筆人【執筆者】にわ・ふでひと 河合塾在職後に渡米し、北米の補習校・学習塾講師を歴任。「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、「サマー・キャンプ in ぎふ」の企画・運営、河合塾海外帰国生コース北米事務所、名古屋国際中学校・高等学校と国際高等学校北米担当などを務める。他にサンディエゴ補習授業校教務主任。
◆米日教育交流協議会(UJEEC)
Website:www.ujeec.org

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