〈コラム〉盛大な誕生会ができる人~アル・シャープトン

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Harlem_columnトミー富田「ハーレム浅草下町考」Vol. 40

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60歳の誕生日を祝うアル・シャープトン師

先週、人権問題の活動家、アル・シャープトン師の60歳誕生日コンサートに招待されて、行ってきた。
1990年にニューヨーク初の黒人市長となったデイビッド・ディンキンズ氏の挨拶を皮切りに、各界から著名人が登場。ゴスペル界を代表する大物歌手、マービン・サップとヨランダ・アダムスが、それぞれに魂を込めた歌声で観客を総立ちにさせた。
彼の歩みを紹介する長編ビデオには、マイケル・ジャクソン、ジェームス・ブラウン、オプラ・ウィンフリー、そしてオバマ大統領の姿も。配布された分厚いパンフレットの1面にはミック・ジャガーからのメッセージも、その交友関係の広さを物語っていた。
ちょうど10年前、アポロ劇場で行われた彼の50歳誕生会には、サプライズでヒップホップ界からパフ・ダディ、また生前とても懇意にしていたジェームス・ブラウンが来たことを思い出した。が、今回は華やかなセレブゲストばかりではなかった。
99年、ニューヨークで4人の白人警官から41発射撃され命を奪われたギニア人アマドゥ・ディアロさん、2006年、結婚式前夜にクイーンズ区ジャマイカで警官5人から50発の弾丸を浴び命を奪われたショーン・ベルさん、12年にフロリダで、帰宅途中突然警官から撃たれて命を奪われた16歳のトレイボン・マーティンさん、そしてこの夏、スタテン島で警官に背後から首を絞められ命を奪われたエリック・ガーナーさん、丸腰であったのに撃たれ悔しい死を遂げた若者達、それぞれの遺族が壇上にあがり、アル氏の活動に感謝のメッセージが贈られた。

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開場3時間前から並び始め、ハーレムに数千人の行列ができた

前日には、ミッドタウンの高級レストランで、政治家や実業家、そしてアレサ・フランクリンなど、国民的セレブを招いて誕生日ディナーも行われた。コミュニティーを代表して大きな声を世の中に届かせるには、地道なグラスルーツ活動と合わせ、決断を下せるトップ陣とのパイプも重要。自由の国アメリカ、人種の坩堝ニューヨークで、自由・平等・政治力、様々なことを考えさせられた夜だった。
(次回は12月第2週号掲載)

 

〈筆者プロフィル〉トミー富田(トミーとみた) 東京浅草生まれ。ニューヨーク・ハーレム在住23年の音楽プロデューサー。1994年にアジア人初の「Dr. マーティン・ルーサー・キングJr. アワード」を受賞。ハーレム商工会議所会員。アポロ劇場ボードメンバー。20年以上続けている大人気の「トミー富田のハーレムツアー」は、日本からのファン、リピーターが多いことでも有名。■トミー富田のハーレムツアー 電話:646・410・0786 ウェブ:tommytomita.com

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