〈Topic〉第8回乳がんシンポジウム@ニューヨーク開催

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3氏の具体例が聴衆を引きつけ
BCネットワーク主催

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日米両国の専門家のシンポジウムに多くの聴衆が集まった。中央は主催したBCネットワークの代表・山本眞基子氏=4月24日、ニューヨーク(撮影:みやじま)

日米両国で最新の乳がん治療法の情報発信や早期発見のための啓発活動を行う非営利団体「BCネットワーク」(bcnet
work.org)は、8回目となる「乳がんシンポジウム@ニューヨーク」を4月24日、在ニューヨーク日本国総領事・大使公邸で開催した。
講師には、ニューヨーク大学乳腺外科医のアンバー・ガス医師、大阪大学オンコロジーセンター緩和ケアチーム・精神科医の谷向仁医師、マンハッタンウェルネスメディカル勤務の米国登録栄養士、宮下麻子氏を迎え、司会と通訳をFCIの久下香織子アナウンサーが務めた。
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講演ではまずガス医師が、乳がんを「治療に成功することが多い病気である」とし、乳がん検査の主流であるマンモグラフィー検査は「40歳になったら1年に一度受けることが望ましく、超音波検査との併用が有効である」との考えを述べ、その理由や、検査方法に関する最新の研究や動向について語った。

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この日のために大阪から来米した谷向仁医師=同

谷向医師は精神科医の立場から、がん患者のメンタルヘルスをテーマに講演。がんに対して患者の心の反応が時を追うにつれ、どのように変化していくか、がん経験者の気持ちは身体状態変化と関連性があるのかなどの調査結果をグラフを使いながら共有した。また「不眠は実はコントロールしやすいので、放置せずに精神科の受診を勧めたい」「ストレスがある場合、気持ちをため込むよりは誰かに話してみてほしい。相手が医者でなくてもよく、患者会や、自分が話しやすい相手に語るだけでも良い」など具体的な事例やアドバイスを述べた。聴衆は熱心に聞き入っていた。
宮下氏は栄養素が脳の状態や治療に及ぼす影響を、食材や栄養素名を挙げながら語り、日頃から食べ物に留意し、身体と脳を良いコンディションに保つことの重要性を説明した。
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シンポジウムは、宮下氏の講演内容に基づいたレシピで作られた手作りのヘルシーな菓子を囲むお茶会に始まり、恒例のプレゼント大会で幕を閉じた。がんという重いテーマながら終始和やかな雰囲気となった。

(「WEEKLY Biz」(ニューヨーク)2015年5月9日号掲載)

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