ピアニストの中村天平氏招き、特別講演

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「人の力は無限大」テーマに大切な教訓を語る

ニューヨーク育英学園で行事

 

中村天平氏の演奏に聴き入る子供たち

中村天平氏の演奏に聴き入る子供たち

 

ニューヨーク育英学園全日制部門(ニュージャージー州イングルウッドクリフス、岡本徹学園長)小学部で6日、ピアニスト兼作曲家として世界中で活躍する中村天平氏を招き、特別講演会が行なわれた。

天平氏は中学生でピアノを中断し、高校も半年で中退、解体業やとび職で生計を立てていたという、ピアニストとしては異色の経歴の持ち主だ。そこから世界的な音楽家として活躍するまでになった天平氏自身の経験から、「人の力は無限大」をテーマに講演会は行われた。

講演会は自身の作曲「栄光へのファンファーレ(朝日放送「東京タイマー2020」テーマ曲)」の演奏で始められた。アスリートを応援する思いが込められたこの曲は、情熱的ながらもさわやかな風が吹くようで、華麗で圧倒的な指さばきに子供たちの視線はくぎ付けとなった。

そして、「夢をつかみ、なりたい自分になるために」という、人生における大切な教訓を語った。「今の自分を見つめ、理想の自分をはっきりと思い描き、どうその差を埋めるかを考えること」「努力すれば必ず成功するのではなく、成功するためにはどういう努力をしなければならないのかを考えること」という言葉は、自身が努力に努力を重ね、夢をつかみ取った天平氏ならではの、説得力のあるものだった。

その後、子供たちからの質問の一つ一つに丁寧に答えた天平氏。「激しい曲が聴きたい」というリクエストに応えて、自身の作曲「火の鳥」を熱演。何度でもよみがえる不死鳥のごとく、燃えたぎるような気迫に会場は再度圧倒されたようだ。

5年生のウエイク・カーソン君からの「演奏で大切なことは何ですか」という質問には、「恥ずかしがらない。失敗を怖がらない」と答えていた。カーソン君は、「ぼくが習っているフィギュアスケートの大会に向けて、とても参考になった。」と感想を述べた。

中村氏を囲んで記念写真

中村氏を囲んで記念写真

 

最後に少し長い一言、と前置きをし「人生において一番大切なもの」として「人の大切さ」を語った。「自分がどれだけうまくなったとしても、周りに自分を見てくれる人がいなければ意味がない。しかし周りに良い仲間がいて、人に恵まれていれば、たとえ自分に70の力しかなくても、支えてくれる皆が100以上のものにしてくれる」。世界を股に掛けて演奏活動をする天平氏からの、これからの世界を担いでいく子供たちへ期待を込めた言葉だった。

〈情報・写真提供〉
ニューヨーク育英学園 www.japaneseschool.org

(2017年4月22日号掲載)

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