岩井秀人・作/サラ・ヒューズ・演出 『おとこたち』(英題:Manhood) 現代日本戯曲:英語版リーディング・シリーズ

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ジャパン・ソサエティー(JS)舞台公演部の恒例プログラム「現代日本の戯曲:英訳版リーディング・シリーズ」の第13回目として3月26日(月)、岩井秀人・作/サラ・ヒューズ・演出の『おとこたち』を上演する。

『おとこたち』は、大学時代に友情を培った20代の4人の男友達が、結婚、仕事、挫折、カルト宗教、育児、不倫など様々な人生の峠を通過しながら、年老いて人生の終焉に至る――その各自の60余年の「男の人生」を描いた、皮肉とコメディーが織りなす優れた戯曲。たった2時間のドラマの中で、4人の男たちがそれぞれ様々なネガティブな局面にぶつかり挫折や希望を繰り返すさまを、息つく暇もないほどに描き出す。「日本のおとこ」の価値観をある種“誇張”して綴ったこの戯曲を、今回英語版で演出するのはニューヨーク・ダウンタウン演劇界の若手注目株、Clubbed Thumbの演出フェローであるサラ・ヒューズさんだ。男性役を女優が、女性役を男優が演じるというユニークな配役を用いることで、観客に社会とジェンダーの関係性の再考を促する。
岩井秀人さんは、2003年に劇団を結成し、引きこもりや、父親との確執など、自分の過去の経験を題材にした作品を中心に、家族、集団と個人、個人の自意識の葛藤について描く作品を作・演出。『おとこたち』でも、岩井さん自身と暴虐だった自身の実の父親との父子関係からテーマを得たと思われるエリート社員とその息子や、戦隊ヒーロー役ドラマで一大ブレイクしたが、アル中で人生を棒に振る男。浮気相手と妻と、両方に浮気がばれながらもまだ浮気を続ける男など、“理想の男性”とは程遠い男たちが登場。その負け組人生の中にも常に「男の友情」が重層低音のように存在するあたりが見どころ。

岩井さんは、自ら主宰する劇団「ハイバイ」のための作品の他、最近では子供が書いた台本を基にシンガーソングライターの前沢健太と共に演劇作品を作り上げる「子供発射プロジェクト」なども立ち上げている。『生むと生まれる それからのこと』で第30回向田邦子賞を、『ある女』で第57回岸田國士戯曲賞を、それぞれ受賞。

岩井秀人(いわい ひでと)
劇作家・演出家。東京都小金井市出身。2003 年劇団「ハイバイ」を結成。 2007 年より劇団「青年団」の演出部に所属。小金井市という場所に育ったったことをアイデンティティーに、「大衆の流行やムーブメントに憧れつつそれを引いて眺める目線」を以て、家族、引きこもり、集団と個人、個人の自意識の渦、等々についての描写を続けている。2012年NHKBSプレミアムドラマ「生むと生まれるそれからのこと」で第30回向田邦子賞、2013年「ある女」で第57回岸田國士戯曲賞を受賞。代表作に『ヒッキー・カンクーントルネード』『おねがい放課後』『て』など。

サラ・ヒューズ (Sarah Hughes)
演劇及びニュー・メディアの演出家・プロデューサー。限られた状況や、偶然の発見によって生まれる作品を重視し、主にコラボレーションの過程で作品を制作する。ユーモアやぎこちなさ、思いがけない配役や声、言葉遣い、動きなどを駆使して、本物に近づくことで観客に真実を感じてもらうのではなく、共有した体験の中から真実を発見してもらうことを目指している。新作の演劇、パフォーマンス・アート作品、創作作品、インスタレーション作品などを数々のアーティストたちと創作、その中にはEliza Bent, McFeely Sam Goodman, Julia May Jonas/Nellie Tinder, ニューヨーク近代美術館、Vox Theater、また、自らがコアメンバーでもあるSuperhero Clubhouseなどがある。また、SensoriumのGraham Sackと協働し、ニューヨーク・シアター・ワークショップや、ニューヨーク・タイムズ紙, ペンギン・ランダムハウスなどのためにバーチャルリアリティー作品も制作。過去の作品はAbrons Arts Center, ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック/ Next Wave, ブッシュウィック・スター, ジャック, ザ・タンク, ザ・ブリック, シーガル・センター, PEN World Voices, コロンビア大学, シグネチャー・シアター, The Flea, Prelude, CATCHなどで発表されている。2007年から2014年まではElevator Repair Serviceのオフ・ブロードウェイやツアー作品で、『Gatz』, 『The Select, Arguendo』, 『Shuffle』, 『Fondly, Collette Richland』 などの演出助手を務めた。ダートマス大学で現代演劇クラスの共同講師の経験がある。2016-17年Civilians R&D Labメンバー、現在はNew Georgeの提携アーティスト、Target Marginのアソシエート・アーティスト。また、2017-18年Clubbed Thumb から演出フェローシップを受けている。

■概要
【日時】3月26日(月)午後7時半
【会場】ジャパン・ソサエティー内劇場
【場所】333 East 47th St, NYC
【チケット】15ドル、会員10ドル
【詳細】www.japansociety.org

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