印傳屋、米国でオンライン展開始動

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全米最大ファッション展示会に出展

全米最大ファッション展示会「コーテリー(COTERIE)展」が9月17日から3日間、ニューヨークのジェイコブ・ジャビッツセンターで開催された。春と秋の年2回行われる展示会には、婦人向けコンテンポラリーのアパレルとアクセサリー、靴やバッグなどの最新トレンドを求めて、毎年1万人以上が訪れる。

ニューヨークで開催された「コーテリー」展の模様=9月

ニューヨークで開催された「コーテリー」展の模様=9月

その中で、日本の伝統工芸の魅力を発信するのが「印傳屋(いんでんや)上原勇七」だ。「甲州印伝」は江戸時代から甲州(山梨県)に続く革製品の伝統工芸。その最古でありトップシェアの同社は、400年以上にわたる伝統技術を受け継ぎながらも新しいセンスを取り込み、じわじわと世界に進出している。

ニューヨークで開催された「コーテリー」展の模様=9月

ニューヨークで開催された「コーテリー」展の模様=9月

甲州印伝は江戸時代に遠祖上原勇七(現・13代)が鹿革に漆付けする独自の技法を創案したのが始まり。この技法により作られた巾着や莨(たばこ)入れなどは当時の上層階級に愛用されたという。経済産業大臣指定伝統的工芸品にも認定された。

現在、同社は日本全国に直営店を4カ所構え、甲府市の本店には「印傳博物館」も併設する。2012年に海外市場向けのブランド「INDEN EST. 1582」をデビューさせ、シックなモノトーンの市松模様などモダンなデザインを採用し、ニューヨークやパリで話題を呼んだ。特に、米国において、ミラ・デザイン社を総代理店として、ニューヨークのノイエ・ギャラリー、サンフランシスコのガンプスなど数多くのハイエンド専門店に販売している。また世界的高級ブランドとのコラボレーションも積極的に行っている。ニューヨークのティファニー、最近では英国の老舗ブランド「アスプレイ」に日本企業で初めて提携先に指名され、新商品を発表するなど注目を浴びている。そして米国では「designedstore.com」と提携したことにより「INDEN EST. 1582」の全商品がオンラインで買えるようになった。

「印傳屋上原勇七」専務取締役の上原伊三男氏=同

「印傳屋上原勇七」専務取締役の上原伊三男氏=同

同社専務取締役の上原伊三男氏は「5年前からアメリカでチャレンジしているますが、徐々に評判が広まり高い関心を得ています。また、シックなデザインの海外シリーズは日本でも評判が良く、相乗効果になっています」と近況を述べ、「世界で一つしかないこの日本の伝統産業を広めていきたい。またアメリカのみならず、ヨーロッパやアジアにも進みたいと思います」と今後の意欲を述べた。

◎情報
【米国での購入サイト】designedstore.com
【INDENのサイト】Inden-catalog.com

(2017年10月7日号掲載)

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