米国宝酒造 バーチャル酒テイスティング体験談 楽しみながら酒や日本文化への理解が深まる

0

1人、パートナーや家族、友達と…

本紙編集部員が同社のバーチャル酒テイスティングを体験(Tay Photography)

本紙編集部員が同社のバーチャル酒テイスティングを体験(Tay Photography)

米国宝酒造(Takara Sake USA Inc.)は、カリフォルニア州バークレー市に米国本社と工場を構え、シエラネバダ山脈の雪溶け水とワインの聖地ナパバレー近くの恵まれた気候を生かして酒造りに取り組む。併設のテイスティングルームは米国の人々に酒のおいしさや楽しみ方を伝え広める役割を果たし、新型コロナウイルスのまん延以前には年間約1万人が訪れていた。そのテイスティングルームもパンデミック中は閉鎖を余儀なくされ、対応策として新しく生まれたのが「バーチャル酒テイスティング」だ。オンライン(Zoom)で酒ソムリエと一緒にテイスティングを楽しめるイベントは、地元カリフォルニアのメディアやインターネット交流サイト(SNS)などでじわじわと広がり、今では申し込みが毎週定員に達するほどの人気ぶり。今回は、実際に本紙編集部員が同社のバーチャル酒テイスティングを体験した。

まずはセットの購入から

バーチャル酒テイスティングのスタートは、同社のオンラインサイトで「Virtual Sake Tasting Variety Sake Set」を購入することから始まる。松竹梅シリーズのクラシック純米、REI 純米大吟醸、プレミアム吟醸、オーガニック生、にごり Silky Mildの5本セットで、費用はテイスティング参加料も含め合計50ドル。購入すると届くEメールに従い、都合の良い日時を予約登録する。配達は地域によって5〜10営業日かかるため、早めに予約した方がいい。ほどなくして届く酒セットには製品の他にパンフレットなどの資料も同包されていて、期待に胸が膨らむ。ギフトとしても喜ばれているという。

自宅から安全にパーティー感覚で参加も

当日はカリフォルニアからテキサス、バージニアと全米各地から、定員の20人がオンラインで集まった。1人で参加する人もいれば、パートナーや家族、友達と一緒に参加する人、おつまみを用意している人も多く、想像していたよりずっとリラックスした雰囲気だ。一つのデバイスであれば数人でも共有できるので、ちょっとしたパーティー感覚で参加するのも楽しそうだ。講義は英語のため日本人以外が大多数だが、パートナーと一緒に参加する日本人も。

イベントは前半に講義が行われ、後半にテイスティング、質疑応答へと移る。テイスティングルームマネジャーで酒ソムリエの土岩美歌さんが酒造りの歴史や酒の種類、生産工程、原料についてなど幅広く解説をする。発酵プロセスをワインやビールと比較して図解するなど、米国人にも分かりやすい工夫がされていた。真剣に講義に耳を傾けていた参加者も、テイスティングの段になると活発に発言。ボトルを一つずつ開けて味わい、「バナナの香り」「ナッツみたい」といった感想を口々に共有した後、各々の製品の味の特徴や適した飲み方、合わせやすい料理などのアドバイスを酒ソムリエから聞く。質問も、開栓後の保管の仕方から、アンフィルター(にごり酒)とフィルターの違い、飲むと時のマナーまで次々と投げ掛けられた。

1時間程のイベントの後も、引き続き夕食とともに酒を楽しみ余韻に浸る。知識が増えると味わいも一層深く感じられるというもの。そして何より、酒の伝統について英語で学ぶという体験は、想像以上に得るものが多かった。米国に住む日本人なら、日本に関することを英語で説明する難しさを感じることが一度はあるはず。このイベントでは酒の文化、ひいては日本の文化を英語で伝えるという実例を見ることができるだけでなく、米国の人々の実際の反応を見ることができる。英語を話す家族と一緒に参加すれば、楽しみながら酒や日本文化への理解が深まり、コミュニケーションの潤滑油となるのは間違いないだろう。「インタラクティブな場所になるよう話しやすい空間を作りたい」と土岩さんも話すように和やかな雰囲気なので、英語が苦手でも構える必要がないうえ、ホストは日本人なので日本語で質問することも可能だ。

バーチャル酒テイスティングは通常毎週木曜日、米国東海岸時間で午後7時(西海岸時間で午後4時)から。詳細はウェブサイトで確認しよう。

■概要
【購入ウェブサイト】www.takarasake.com
【Sake Set】
松竹梅 クラシック純米(750ミリリットル)
松竹梅 REI 純米大吟醸(300ミリリットル)
松竹梅 プレミアム吟醸(300ミリリットル)
松竹梅 オーガニック生(300ミリリットル)
松竹梅 にごり Silky Mild(375ミリリットル)
【問い合わせ】
〈Eメール〉onlineshopping@takarasake.com

(2021年4月17日号掲載)

Share.