国連本部で「平和の鐘」式典 国連総長「平和のための気候行動」呼び掛け

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「平和の鐘」を鳴らすグテレス国連事務総長=20日、ニューヨーク(撮影:中沢)

日本寄贈の「平和の鐘」を鳴らす式典が9月20日、ニューヨークの国連本部の日本庭園で行われた。式典は21日の国際平和デー(International Day of Peace)を前に毎年開催されている。今年は「平和のための気候行動(Climate Action for Peace)」がテーマ。会場にはグテレス国連事務総長や別所浩郎国連大使の他、「国連ピース・メッセンジャー」として音楽を通して国際平和活動を行っているバイオリニストの五嶋みどりさんと世界的なチェロ奏者ヨーヨー・マ(Yo-Yo Ma)さんらが参列した。

グテレス氏は、「近年における異常気象は、自然環境だけでなく私たちのコミュニティーにおける平和を脅かしている。気候変動は資源などの枯渇、そして人々との衝突や暴力、さらに国家間の緊張や戦争を生んでしまう」と語り、平和のために気候変動などの環境問題に取り組むことを強く呼び掛けた。

学生会議で圧巻の演奏を披露する五嶋みどりさん(左)とヨーヨー・マさん。演奏後はスタンディングオベーションが沸き起こった=20日、ニューヨーク(撮影:中沢)

国連では国連平和メッセンジャーが出席するほか、慶應義塾ニューヨーク学院(高等部)の生徒も参加した学生会議が開かれた。式典終了後、学生会議で約700人の高校生や大学生らと国連ピース・メッセンジャーの交流会が、五嶋さんとヨーヨー・マさんによる圧巻の演奏で始まった。

五嶋さんは、「音楽は人の心を変え、また人々をつなぐ力を持っている。この会はあなたたちと私たちをつなげるすてきな機会になるだろう」と語り、平和のメッセージを音楽に込めて発信した。質疑応答では多くの学生らが挙手し、積極的に質問や疑問を投げ掛ける場面もあり、現在や未来の平和に対する若者の関心の高さがうかがわれた。ヨーヨー・マさんは、「あなたたち一人一人が持っている情熱を鎮めることなく、常に発信し続けることで活動の輪が広がるだろう」と、学生らを激励した。

「平和の鐘」式典に参列した五嶋みどりさん(左から2人目)、ムハンマドバンデ国連総会議長(同4人目)、グテレス国連事務総長(同5人目)、別所国連大使夫妻(同6人目、7人目)、メリッサ・フレミング氏(同9人目)、ヨーヨー・マさん(右端)=20日、ニューヨーク(撮影:中沢)

平和と気候変動について話すグテレス国連事務総長=20日、ニューヨーク(撮影:中沢)

平和と気候変動について話すグテレス国連事務総長=20日、ニューヨーク(撮影:中沢)

(2019年9月28日掲載)

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