〈ピープル〉アコースティックデュオユニット Yagull(ヤグール)

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一つのストーリーを感じられる演奏を

NY倫理友の会総会で11月7日、演奏

ニューヨークを拠点に活動する「Yagull(ヤグール)」は、上坪可奈さんによるピアノと、夫のサシャ・マルコビッチさんによるギターが奏でるアコースティックデュオユニット。11月7日に開催されるニューヨーク倫理友の会「第19回年次総会」にゲスト奏者として招かれている。

Yagull(左から)上坪可奈さん、サシャ・マルコビッチさん

Yagull(左から)上坪可奈さん、サシャ・マルコビッチさん

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Yagullは作曲も手掛け、アルバムもほぼオリジナルの曲。その音楽は、「cinematic(映画のような)」「foresty(森のような)」と表現されることが多いという。「聴いているだけで情景が浮かび、想像をかきたてられると言われます」と可奈さんは話す。そのせいか、画家などクリエーティブなファンも多く、小説『ジェームズボンド007シリーズ』の作家レイモンド・ベンソン氏もその1人なのだとか。

Yagullにとって2019年は飛躍の年。昨年発売したアルバム「YUNA」が高評価を得て、人気ラジオ音楽番組「Echoes」に出演するなど、米国、日本、セルビアなどのマスメディアで話題を呼んでいる。4月に東京・神戸でツアーを行い両公演ともチケットは完売。また6月にはニューヨーク、8月にセルビアのナショナル・ミュージアムでコンサートを行った。

可奈さんは3歳でピアノを始めた。教わっていなくても一度聴いた曲は何でも弾いてしまい、先生を驚かせたという。そこからクラシックを学び大阪音大に進み卒業後、ジャズに出合う。ジャズの専門学校を経て03年に渡米。奨学金を得てボストンのバークリー音楽院に入学した。一方、夫のサシャさんはセルビア(旧ユーゴスラビア)のベオグラード出身。独学でギターや作曲を学び、ロックやブルースを研究した。そして03年、自由に音楽活動を行うためにニューヨークへ渡る。

そんな2人がニューヨークで出会ったのは12年。精通していたジャンルも音楽の学び方も正反対だが、共通していたのは「魂のある音楽が好き」「難解な音楽よりも、聴きやすいメロディーが好き」なことだったという。2人で新しいものを試行錯誤しながら行う曲作りの過程では、全く違うバックグラウンドだからこそ新しい発見も多いようだ。

「倫理友の会では、映画のように、一つのストーリーを感じられる演奏ができたらと思っています」と可奈さんは話してくれた。

 

Yagull(ヤグール)

2012年結成。ニューヨークを拠点に活動するアコースティックデュオユニット。神戸出身ピアニスト、作曲家、ミュージックセラピストである上坪可奈(かみつぼ・かな)と、セルビア出身のギタリスト、作曲家、プロデユーサーであるサシャ・マルコビッチで編成される。最新作「YUNA」(2018年)を含め、過去に「Films」(12年)、「KAI」(14年)の3作品をリリース。『タイムアウトニューヨーク』誌はじめ、全世界20カ国以上から好評価を受ける。また、2人は障害がある子供も含めた幼児から大人までを対象としたミュージックスクール「Hug Music」も経営する。

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◇ニューヨーク倫理友の会 第19回年次総会

11月7日(木)午後6時半開会
【講演】一般社団法人倫理研究所理事長・丸山敏秋
【演奏】Yagull:上坪可奈(ピアノ)、サシャ・マルコビッチ(ギター)
【会場】NYAC(NYアスレチック・クラブ)10階
【会費】会員110ドル・非会員120ドル(共に食事・ワイン込み)
【問い合わせ】ニューヨーク倫理友の会事務局 〈電話〉212-869-1922(火・木)

(2019年10月26日号掲載)

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