〈コラム〉「そうえん」オーナー 山口 政昭「医食同源」

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玄米と初めて出会った日(2)

Grain in a White Ceramic Bowl健康に関する新聞記事は小学生の時から必ず目を通していました。家に配達される朝日新聞を最初に読んでいたのは私です。最初に目がいくのは死亡記事です。日本人は胃がんで死ぬ人が多いことも小学生の時、すでに知っていました。その思いが食へとつながっていったのでしょう。池田勇人首相の「貧乏人は麦飯を食え」の時代です。私は別の記事から麦飯が身体に良いことを知り、我が家でも、私の希望で麦飯が炊かれるようになりました。が、長続きはしませんでした。父が嫌ったからです。それでも母は私のために別に麦飯を炊いてくれたのですが、忙しい母にそこまでしてもらうのも気が引けて、結局、私も一緒に白米を食べるようになりました。(また余談になりますが、冷水摩擦を始めたのも小学生の時です。九大の医学部長と西鉄に入団したばかりの中西太選手との対談で、医学部長が冷水摩擦を勧めているのを知って、早速私も始めたのです。日本にいるころはタオルでこすっていましたが、こちらに来てからはヘチマでこすっていました。現在は身体にやさしく自分の手でこすっています。医学部長の言ったとおりでした。風邪を引かないだけでなく、病気をしない身体になったのです)
麦飯よりさらに身体に良い玄米があることを知ったのは、それからだいぶたってからです。私も食べたいと思いましたが、どこで手に入れていいかわからないので、仕方なくずっと白米を食べていました。
ブラウン・ライスに出会った時に私が感動したのは、そういう背景があったからです。日本で一度も玄米を食べたことのなかった私が、米国で玄米に出会った時、米国に来たもうひとつの意味を、おおげさでなく知った気がしました。
それからは「そうえん」の常連になったのは言うまでもありません。
(次回は10月8日号掲載)
〈プロフィル〉山口 政昭(やまぐち まさあき) 長崎大学経済学部卒業。「そうえん」オーナー。作家。著書に「時の歩みに錘をつけて」「アメリカの空」など。1971年に渡米。バスボーイ、皿洗いなどをしながら世界80カ国を放浪。

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