〈コラム〉キヨコ・ホルバート「私と写真、そして、ウエディング」【vol. 2】

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ここだと思う瞬間がきてから撮る

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photo: Kiyoko Horvath

私がニューヨークにやって来たのは、写真を本格的に学び、プロを目指すためという目的で、知り合いもいないこの街に女一人で飛び込んできた訳ですが、大都会なのに下町のような風情と泥くささと刺激的なところが好きで、気がつけば、もう30年も住んでしまっていました。もともとフランスの写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンの撮るイメージに惹かれ、カメラを手に取るようになったのですが、彼のいう「決定的瞬間」をいつも心がけてシャッターを切っています。
ファッションやコマーシャルの写真だと、モデルもロケーションもライティングも構図も殆ど全てを写真家がコントロールでき、気に入ったものが撮れるまで何度でも撮り直しができる訳ですが、ウエディングやライブのイベントでは、そうはいきません。色々な予定外の事が起こる事も多く、ライブですから、やり直しもできないですからね。その時その時の一瞬がとても大事になります。
「銃を撃つこと(シューティング)とシャッターをきること(シューティング)は同じこと。絵画は瞑想で写真は射撃だ」というブレッソンの言葉にあるように、猫が獲物を狙う時のように、被写体をじっとみつめ、構図を考えながら、じっとその「決定的瞬間」を忍耐強く待つ事が、常にとても大事なのです。
ウエディングで、ご家族やご友人が参列される際、皆さん、挙式が始まる前から、まるで何も考えずに写真を撮りまくって、逆に大事な場面にくるとバッテリーがきれたとか、フィルムがもうないとかおっしゃる方が多いんですね。特に人物を撮影する際は、じっと観察し、情景や表情など、ここだと思う瞬間がきてから撮るということを心がけて撮影されると、もっと良い写真が撮れると思います。(次回は8月第3週号掲載)


0419-Kiyoko_column-539021_10151881919944265_683327061_n〈プロフィル〉キヨコ・ホルバート(Kiyoko Horvath) 写真家/ウエディングプランナー
FIT写真学科を卒業。東欧出身の映画カメラマンの夫と共にキロスタジオを設立。これまでに撮影のほか、1200組以上のウエディングを手掛けるなど、NYのウエディングの草分け的存在。講演や視察ツアーも行う。また、「NY女性の集い」や「Learn From 3.11」を立ち上げ、ボランティア活動も精力的に行っている。【ブログ】ameblo.jp/kirowedding

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